Chapter 27-3
「「「………?」」」

下に降りた三人は、再び固まった。というのも、下の階はごくごく普通のカジノのようになっていたからである。だがそれだけでなく、周りを見てみると、人間の客ばかりだった。
「……俺さ、病院行った方がいいかな?」
「……いえ、その必要はないと思いますよ。私もあなたと同じ光景を見ていますから」
だが、彼らが切り抜けてきた一階はスライム地獄だったはず。三人は徐々に勝手な推測をしていく。
「ここの人たちはスライム地獄が出来る前からここにいるってことになるな」
「しかし、普通の人間なら抵抗したり反逆したりするはずですから、これはここの人たちがこの城の主か誰かに精神を操作されていると考えられますね。それに、あれだけのスライムを作り出すと言うことは、城の主はまず間違いなく高い魔力を持つ人物でしょうね」
「ってことは、次の敵は魔法に強いのか。科学の次は魔術ってか」
三人の顔は自信ありげだった。確かに、推測としては最も妥当な考えではある。
しかし、ここでキットが、もう一つ不可解な点があることに気づいた。

「どうもさっきから……辺りの人間が何かを囁き合っていますね……」
その言葉に、キースとディルも耳を澄ませる。すると、彼らは呪詛のように一つの言葉をつぶやき続けていた。

「マホトラ…」
「マホトラ…」
「マホトラ…」

「しまった……!」
キースはその場に凍りついた。決して高くはない彼らの魔力は、この部屋に入った時から吸い取られていたのだ。そして、それは今や完全に吸い取られていた。
「バギマ! ……やられましたね……!」
キットが唇を噛む。バギマは発動しない。魔力は完全になくなっていた。
「やっぱり……こいつら操られてやがったか!」
ディルは必死に手当たり次第に周りの人間を殴って気絶させてゆく。操られているとは言え、人間は人間だ。無差別に殺してしまうわけにはいかない。キースもキットも、地道に一人ずつ倒していった。
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