Chapter 27-1
キースたち三人は、トルッカから謎の祠へとやってきた。地図で確認すると、アモールの西、高い岩山の向こう側にいるようだ。

「懐かしいな、あのときは確かアモールの滝がいきなり止まったんだっけ……」
キースはあの暴風雨の夜を思い出していた。
当然のことなのだが、二人には分からない。他に分かる者と言えば、そう、アレクとクラリスである。
「……あいつら元気でやってっかな」
キースは目を伏せた。一度思い出せば次々と浮かんでくる思い出。何気ない、ふとしたきっかけで思い出は鮮明に蘇るものである。
また、アレクたちのことを思えば、自然とラルドの顔も浮かんでくる。自分の一番の親友、そして最大のライバル。仲間には、色々な面で助けられてきた。
だが、今は感傷に浸っている暇はあまりない。キースはやや寂れ気味の祠に入った。その後に二人が続いた。

中にはぽつんと井戸があるだけだった。飛び込んでくださいとばかりに、井戸はその口を開いている。
キースは何の躊躇いも無く井戸に飛び込んだ。
ディルとキットはまだ祠の入り口にいるのだが。

「「(……早い)」」

出てくるのはもちろん上の世界。再び地図を開いてみると、ちょうどセルたちと戦った場所からほぼ南に位置していた。しかし、地図を見るより明らかなものが一つ。

「あれ……何だ?」
キースは指を差す。そこには、なかなか大きな城のような建物があった。それだけではなく、城のあちこちにスライムのような銅像が立っている。
「何だ? スライム祭りでもやんのかここは」
「それは無いと思いますが」
ディルの言葉に、キットが苦笑しながら突っ込む。
「何だと……」
キースは一人、地図を見て驚いていた。二人が覗きこむと、その城の地名にはこう記されていた。

「「「悪魔の……城……!?」」」
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