Chapter 25-5
目の前に開ける、初めて見た新天地。
二人は、森の井戸に迷うことなく飛び込んだ。いつでも向こうには戻れるのだから、先に新大陸の方を調べよう、ということになり、広大な森を調べるのを後回しにしたのだ。

「ところでな、キース」
「ん? 何だ?」
「あの二人がつけてたペンダントあったろ。なんであれを壊したがったんだ?」
「ああ、あれか」
キースはふう、とため息をつき、ディルの問いに答えた。
「あの二人は、間違いなくガルドスに操られている」
「何だと?」
「あいつらの目を見て分かった。子供はあんなに目の色は死んでない。もっと澄んだ、生きた目をしている」
「なるほど、気づかなかったぜ。俺には分からないわけだ」
「ああ。お前はたぶん、あんな目をしたヤツらに囲まれてたんだろ? 不思議に思わなくても当たり前だ」
キースは、ふっ、と軽く笑った。
「ガルドスはたぶん、あのペンダントで二人の心を完全に支配してる。これもお前は闇の属性に長けてるから気付かなかったかも知れないけど……」

とっさに襲ってきたタホドラキーを横目に一閃しながら、キースは後を続ける。

「ペンダントから有り得ないほど禍々しい闇の気が漂っていた。あんなちっちゃなペンダントから、俺が最初に――竜王の城で出会ったバスラと同じぐらいのな」
「マジか。全く気付かなかった……」
それっきり、ディルは口を開かなかった。

やがて眼前に、一つの町が見えてきた。だがその時、彼らの前に人影が現れた。

「……何だ? あんた」
キースは足を止めた。立ちふさがった男は、長身で痩せ型だ。手にはそれなりに強さのある剣が握られている。
「トルッカの町に向かわれるにしろそうでないにしろ、一つだけ伺いたいことがありまして」
キースは眉をひそめた。回りくどい言い方をする男だ。素直に「一つ聞きたい」と言えばいいのに。そう考えながらも、「どうぞ」と返した。
「あなた方二人のどちらかが」
その男は、意外な言葉を口にした。

「キース=クランドという名前ではありませんか」
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -