Chapter 25-4
「さっきの戦いだけどな、ありゃ俺たちの負けだ」
「は……?」
「剣じゃ一発でお前たちを倒す方法が見つからなかったからだ。だから俺たちは頭を殴るという少しセコい手段をとった」
「な……んで……?」
「え?」
「なんで頭を殴ったのよ……セルはともかく、あたしは剣でザクザク切られたら勝手に死んじゃうのよ?」
ルイの涙ながらの言葉に、キースはゆっくりと後を続けた。
「俺たちは、最後の最後でお前たちがまだ小さな子供だという考えを捨てきれなかったんだ」
「どういう意味だよ!」
「お前たちに、無駄な傷はつけたくなかった」
「「!!!」」
セルたちは目を見開いた。
「頭を殴る前、俺がお前の背中を斬ったな?」
ディルの言葉にセルは頷く。
「あの時のお前の反応を見て、俺はこれ以上斬れなくなった。小さいうちはいくら剣の腕を磨けても、体力が、打たれ強さが剣の成長についてこない。俺は5歳ぐらいから剣を握らされていたから、それについてはよく知っているんだ」

二人は呆気にとられていた。まさか、まさかそこまで考えて戦っていたようには見えなかったのに。
「お前たちはまだまだ先が長い。もしタメ年ぐらいだったら、完全に俺たちはお前たちに太刀打ちできなかっただろう」
「……っ、それでおだてたつもりか?」
「いや。本心だぜ」
セルはディルを睨む。ディルはすかさず首を横に振った。
「それと、そのペンダントはよほど大切なものみたいだな」
「こ、これは、ガルドス様がオレたちに下さったんだ! お前らには関係ないだろ!」
「ああ、関係ないな。悪い、追及して。ただ、お前ら自身で、どうするべきかもう一度考えてみろ。俺たちが次にお前たちに出会った時、俺はそのペンダントを、どんな手を使ってでもぶっ壊す。覚えておけ」
「「…………」」
キースの意味深な言葉に、二人は沈黙した。そしてそれからしばらくして、キースとディルが立ち上がった。
「それじゃあな。また会える日を楽しみにしてるよ」

キースとディルはその場を立ち去った。後には、呆然としているセルと、涙目で俯くルイだけが残された。
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