Chapter 22-5
「真空波なら、確実にロームに傷をつけられるわ!」
クラリスが起こした真空波によって、ロームの体にまたまた無数の切り傷がつく。
その光景を見て、剣を握り締める手を震わせた者がいた。

「俺は……何回アレクとクラリスに助けられたら気が済むんだよ……」
キースは低くゆっくりとした声で呟いた。
「キース……?」
「あの時だってそうだ。俺の横っ面をひっぱたいてまで、俺を前に向かせてくれたんだ……」
ネクロゴンドでの話だと、アレクはすぐに理解した。
「俺なんかより、アレクやクラリスの方が何倍も強ぇじゃねーか……人にはカッコつけて守るなんて言っときながら、毎回毎回守られてんのは誰だよ……」
「キース……泣いてる……?」
アレクは気づいた。キースの頬が光っているのを。
「情けねーよな、18にもなって泣いてばっかで……へっ、ラルドに笑われらぁ」
「…………」
ディルはキースの言葉を聞いていた。言葉が何一つ出て来なかった。

「アレク…クラリス…サンキューな……!!」
キースは言い終えると同時に剣を放り投げた。剣は放物線を描いてディルの足元の地面に突き刺さった。
「おい、キース……剣を捨ててどうするつもりだ?」
ディルがキースに話しかける。その言葉に答えたのはアレクだった。
「キースなら心配ないよ。キースは剣がなくても強いんだ。僕が保証する」
クラリスが真空波を止めた瞬間、キースはロームに飛びかかった。

「キースはメタルハンターみたいな鋼鉄の敵を――」

「はぁぁぁぁぁ!!!」
ズドォォォォォォォン!!!
「ギャァァァァァッッッ!!」
「何だと……!?」

「――素手素足で砕いちゃうようなやつなんだから……!!」
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -