Chapter 22-1
「そりゃっ!」

ザシュ、と肉の切れる音が響く。
ロームは血を吹き出し、声にならない叫びをあげている。

「よし、次は俺だ!」

ディルが剣を振り上げる。
その瞬間、ロームの体に変化が起こった。
「何だと……!?」
ディルは驚愕した。キースが斬ったところが凄まじい速さで治癒しているのだ。
「ディル、どうした?」
キースが寄ってくる。
「これを見ろ」
ディルは再生しつつある部分を剣で指した。
「なっ……こいつ、再生能力があるのか……!」
「ああ……さっきお前が与えた傷は普通の敵なら確実に大ダメージだ。ファライドあたりまでなら一撃で倒せただろう」
「ファライド、か。懐かしい名前が出てきたな」
「どうする? このまま攻撃してちゃ、いたちごっこだぜ。まあ、いいサンドバッグではあるけどな」
ディルがため息をつく。キースはディルの言葉の最後を聞いて苦笑いを浮かべた。
「ちょっと待って、一つ調べたいことがあるんだけどいいかしら?」
クラリスが駆け寄ってきた。

しばらくの間、ロームをまじまじと見たクラリスは、一つの結論にたどり着く。

「ひょっとして……コイツには心臓が無い?」
まさか、と声が上がる。
「バカな……心臓のない生き物なんて聞いたことねえぞ……!」
「……これは半分勘なんだけど、ロームは再生能力の高い巨大単細胞生物なのかも。そして、もし本当に単細胞生物だとしたら、コイツはほうっておくと分裂して増えていくわ」
「……なるほど、それで分かったぜ。あの人の言ってた意味がな」
キースの表情には色がなかった。しかし、しばらくすると剣を何度も振り、つぶやいた。
「ここで仕留めねーと。責任重大だな」
「でもさ、心臓がなかったらどうやって倒すのさ?」
「心臓がなければ、全体を消すしかない。呪文か特技だな。俺は全力でギガスラッシュをぶちかます。お前らも頼むぜ!」
「「「……!!」」」

三人が頷いた。
キースは剣を横に振り、叫んだ。

「……ギガスラッシュ!!」
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -