Chapter 21-7
太陽の光が差し込む中、四人は壊滅した城の中にいる。
先ほどまでとは打って変わって、水音一つ響かない静かな部屋。

「おい」
キースの明るい声が静けさを破った。
「見ろよ。最高の眺めだぜ?」
壊れた城壁から外を覗くキース。この城は高台に建っているので遥か地平線までが見えるのだ。まさに絶景である。
しかしディルはまるで夢でも見ているかのような表情をして両膝をついていた。キースは剣を鞘に収めているが、ディルは未だに両手でしっかり剣を握り締めている。

「……ディル」
キースの再度の呼びかけに、ディルははっと気付いた。
「……俺がやったのか? 本当に俺がザルグを……?」
ディルの声は少し震えていた。
「ああ、お前以外の誰でもないさ。お前は自分で……過去の自分にケリをつけたんだよ……」
キースがゆっくりと言った。

「……そうか……全く、勢いって怖いもんだな。つい熱くなってお前らの仲間になりたいなんて言っちまって、すまなかったな」
ディルは片膝を立ててつぶやいた。
「何言ってんだ、お前はもう俺たちの仲間だぜ。お前ほど背中を預けられる奴はいないんだ」
キースはきっぱりと言い切った。
ディルははっとキースを見た。
「本当に……いいのか? 俺がいるせいで、この先面倒なことに巻き込まれるかも知れないんだぞ?」
「あくまで可能性の話だろ? それに引き換えお前が確実に仲間になってくれるんなら、安すぎる交換条件だと思うけどな」
キースは笑っていた。
「さあ、手を取ってくれ。この手を取ったとき、お前の人生は百八十度変わるんだ」

キースはまた右手を差し出した。

「……ああ。お前が拾ってくれた命、無駄にはしない」

ディルはその手をがっちり掴んで立ち上がった。そして二人は笑い合った。
ここに、四人目の仲間、ディルが加わった。

「クラリス……ちょっといいかな?」
「……?」
その様子を見ていたアレクがクラリスをこっそり呼び止めたことを、二人は知らなかった。
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