Chapter 21-6
今まで、自分のためにこんなに必死になってくれる者はいただろうか。
ディルは、知らず知らずのうちに涙をこぼしていた。

「……キース、一つだけ教えてくれねえか?」
「何だ?」
「なんでお前は……そこまでして俺のために戦ってくれるんだ?」

キースはその言葉に笑みを漏らした。
「はは、決まってんだろ? 俺は仲間を守るんだ。お前もその対象だってこと、忘れたか?」
「……!」
「それに、命預けられちまったからな。責任重大だな、こりゃ」
キースは言い終えると剣を振った。
今度はザルグの右脚から血が流れた。
「……小癪な。もうおしゃべりは止めにして貰おう! 二人仲良く死ぬがよい……カオス・ブラスター!!」

ザルグは目をかっと開き、闇の波動を放った。
強力な光線状の攻撃が二人を襲う。
「やべぇ……避けきれねー!」
「キース! 俺に任せろ!」
ディルがキースの前に立ち、剣を構えた。

「……うおりゃああああ!!」

ディルはカオス・ブラスターの軌道を変え、誰もいない所に受け流した。
「貴様……!」
「へっ、お前が何度も見せてくれた技だからな。もう見切った。というか見飽きた」
「よし、今度はこっちの攻撃だ! 行くぞ、ザルグ!」
キースは剣を振り上げ、ザルグに向かって走っていく。
「貴様のスピードなど、既に見切って……っ!!」
ザルグは目を見開いた。いつの間にか、二人が視界から消えていたのだ。
「こっちだぜ!」
「くっ……!」
背後にキースが現れた。ザルグはすかさず振り向き、迎撃しようとする。
が、そこでピタリと剣先が止まった。

「「残念だったな…」」

キースとディルが同時に言った。
そう、キースは囮だったのだ。そして、キースを振り返っていたザルグの背後で、ディルは剣を振り上げていた。

「きっ……貴様ら……!!」
「……お前が教えてくれた技でお前を倒す! デスメテオ・ブレイカーーーーー!!!!!」

渾身の力で振り下ろされたディルの剣は、ザルグの体を頭から真っ二つに裂いていった。

「うぉぉぉぉぉ!! よくも……よくもこの私をぉぉぉぉぉぉ!! 覚えていろ……貴様らは必ず……ガルドス様に……殺される……グワァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

断末魔のような叫び声と共に、ザルグの体は砕け散った。

ついに、キースたちはバスラ七衛兵を全滅させたのだ。
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