Chapter 21-2
「お前……そんな傷で……!」

ディルはキースの生命力に唖然とした。その顔を見たキースは言った。
「あの戦いの後、俺は回復呪文を使わなかった。お前から受けた傷を、一瞬で消したく無かったんだ」
「キース……お前……」
ディルはてっきりキースが回復して出ていったものだと思っていた。そのため、キースの言葉を聞いて心底驚いた。
「そのとき、思ったんだ。俺は……お前が俺と一緒に戦ってくれれば、きっと何度だって生き返れるんだ、ってな」
「…………」
「だから」
キースはザルグを見据えながら、ディルに向かって言った。
「今日から、俺の親友になって欲しい。お前がいれば、このザルグなんて簡単に倒せる」

それを聞いたディルの目は、少し潤んでいた。
「全く、こんな馬鹿見たことねぇ」
「ハハッ、大馬鹿でいいぜ?」
「ついこの間まで敵だったってのによ」
「……この間までってことは……!」
ディルもまた、剣を構えたまま、ザルグを睨みつけたまま、しかし口元をわずかに緩めてキースに言った。

「ああ。俺の命、お前に預けてやる」

「……戯れ合いは終わったか?」
ザルグが二人に言う。キースは剣をぐっと握り締めると、
「…悪いけど、俺は今から飛ばして行くぜ。アレク、クラリス、行くぞ!」
「うん!」
「わかったわ!」

「「「………はあああっ……!!」」」
静かに、三人は気を高める。それぞれの身に、オーラがかかる。

「……貴様ら……私相手に手を抜いていたと?」

「すげぇ……なら俺も本気で行かせてもらうぜ……はあっ!!」
ディルは気合のこもった声を上げる。そして、その身を黒いオーラに包んだ。
「ディル……お前も!?」
「ああ、お前との戦いの後で出せるようになった。力が沸いてくるぜ……!」

「貴様ら……全員まとめて地獄に送り込んでやろう! 冥王たる我が力の前にひれ伏すがよい!!」

ついに死力を尽くすであろう、ザルグとの激闘が始まった。
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