Chapter 21-1
「貴様……一体何のつもりだ……!!」
ザルグはディルを指差し、静かに声を荒げた。

「何のつもりかって? 答えは一つ。俺はお前を殺すつもりだ」
「馬鹿も休み休み言え。本来私を傷つけた者は容赦なく殺すところだが、貴様の忠誠心はまだ忘れてはいない。今なら見逃してやってもいいぞ」
ザルグは低い声で言った。が、ディルははっ、と短く息を吐き、強い口調で言った。
「残念だけどその期待は空振りだ。俺はもうお前らの命令には従わないし、その前に俺は魔王軍を……抜ける!」
「何だと……!!」
「魔王軍にいる頃の俺は……自分が腐っていくのが分かった。俺はただ、生死を賭けた戦いがしたかったんだ。その願いを叶えてくれて、しかも俺を救ってくれたのが、こいつだ」
ディルは後ろに目配せをして、ちらりとキースを一目見た。
「だから俺は自分に誓う。こいつらと一緒に……ガルドスやお前を倒して、世界を救ってやるってな!」
「甘いな。仮に貴様がガルドス様を始めとする皆を殺したとして、貴様もその時死ぬのだぞ!」
「そんなの気にしねえよ。たとえこの身が朽ちても、その時までは全力でキースたちの力になる。それが戦いの楽しさを教えてくれたこいつに対する、せめてもの恩返しだ!」
ディルは迷いのない顔で言い放った。
ザルグは一瞬殺気立った表情を見せたが、すぐに表情を戻した。
「……よかろう。結託しようが協力しようが好きにするがいい。ただし……貴様もこの場で死ぬのだ!!」

そう言ってザルグはゆっくりとディルに近づいていく。
(くっ……俺じゃあいつには勝てねえ……けど、一度死んだ命だ。惜しくなんかねえ!!)
ディルは歯を食いしばり、剣を抜いた。そのとき、後ろから声が聞こえてきた。

「……なんだろな、こんなに嬉しい日はないぜ……」
「「!!!」」
戦いを始めようとしていた二人は手足を止めた。

「あの戦いは、俺が今までやってきた中でも最高に楽しい戦いだったんだ……そいつがそばにいるだけでワクワクするってのに、こんな大事なとこで……寝てられっかよ……!!」

なんと、満身創痍のはずのキースが立ち上がった。そして、ディルの脇に歩いていき、剣を抜いた。

「やっぱり……あの二人……」
「うん、似てる……」

その様子を見たアレクとクラリスは、そう声を揃えた。
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