Chapter 11-8
洞窟もかなり奥まで進み、そろそろ終わるか、と四人が思い始めた時だった。
先頭のキースの足がパタリと止まる。

「あれ? キース、どうしたの?」
アレクは不思議でならない。
しかしキースは軽く笑みを浮かべている。
「キース、答えてよ!」
クラリスは少しイライラしていた。
そしてキースが口を開いた。

「おい、いい加減出て来たらどうだ? お前が誰かは知らねーけど、不意打ちで俺たちを殺そうってんなら相手が悪いぜ」
「「えっ?」」
二人が声をそろえる。
すると、前の方から、何か物音がして、人のようなものが現れた。

「さすがだな。完全に気配は消したつもりだったが……」
キースは何も話さない。
「フッ、俺は疾風のファライド。七衛兵で一番の素早さを持つ者だ!」

その言葉を聞き、いよいよキースは頭をかきむしった。
「さっさとしてくれ、待ちくたびれた」

「この……なめるな! このスピードを見切れるか!」
ファライドはそう言うと、四人の周りを素早く周り始めた。

そして、前を向き続けるキースの背後から攻撃を仕掛けた。
「殺った!!」
ファライドが確信に満ちた声を上げたその瞬間、キースはまるで見えていたかのように体を反転させ、その反動でファライドの脇腹を深く突いた。

「ぐはっ! おのれ……」
「アレク、やれ!」
キースはアレクにそう叫ぶ。
「わかった!」
アレクは指先に光を集中させる。するとと、周りの空気が凍り始め、細かな氷の粒ができた。
それだけではない。
「バギマ!」
ファライドに向けて真っ直ぐキリモミ回転の渦を飛ばしたのだ。
バギマは氷を纏って一直線にファライドに向かっていく。
「トルネード・アイス!」

ファライドはそれを見ると、少し笑った。
「見えるぞ! この程度、簡単によけられ……何っ!」
ファライドは体を動かせなかった。

クラリスが彼に向かって手をかざし、魔法力を送り続けていたのである。
「逃がさないわよ! さあ、おとなしくしなさい!」
「くっ……ぐわああああっ!」
ファライドはトルネード・アイスをもろに食らって、吹っ飛んだ。天井に激突し、そのまま落ちてくる。落下点には、アレクが先回りしていた。立ち上がろうとする彼の耳元で、アレクはそっと囁いた。
「ザキ」
バタリ、とファライドは崩折れた。それから、指一本動かなかった。

「お前じゃ話にならねーんだよ。せめて次は残り三人、まとめてかかって来いよな」
キースは不敵な笑みを浮かべたまま、再び歩き始めた。
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