Chapter 11-3
それから三日後。

身体の痛みもすっかり消えたキースは、旅立つための身支度をしていた。
しかし、その支度はどうもはかどらなかった。

あの日、アレクにはああ言われたものの、やはり出て行きづらい。
特に、クラリスを正視できそうな気がしないのだ。
クラリスを危険な目に遭わせてしまったこと。そのことで、キースは必要以上に自身を苛んでいた。
そしてこの三日、かつての仲間たちとまともな会話を交わしてこなかったこともあり、今になって以前どおりに声をかけることも難しくなっていたのだった。

ともあれ、出発までまだ時間があるので、キースはとりあえず、神官にお礼を言うことにした。
それは、少しでも出発のときを遅らせるための、牛歩戦術に他ならなかった。

一方、こちら三人。
「今日出発するから、きちんと支度しておいてね」
アレクはそう二人に告げ、部屋を出ようとした。
その時、クラリスがアレクを呼び止めた。
「私、ちょっとキースに言いたいことがあるの。出発の時、ちょっとだけ時間くれる?」
アレクはきょとんとしていたが、やがて事情を理解したようで、
「ああ、分かったよ」
とクラリスに笑いかけた。
「ありがと」
クラリスも笑みを返す。
アレクは頷き、ラルドの方を向いた。
「ん? ああ、俺は別にいい。よろしくやってくれ」
「そう、分かった」
アレクはそう言って部屋を出た。


そして、いよいよ出発の時間。祠の入り口で、四人が合流した。
「……本当にみんなには迷惑をかけた。これからまたよろしく……」
気まずさを隠しきれないキースは、やや俯き気味でそう言った。

「うん、よろしくね! ……で、早速出発したいんだけど、ここでクラリスさんからキースくんに一言あるそうです」
アレクが少しおどけて言う。キースとしてはちょっと嫌な展開だった。
クラリスがキースを見据える。キースもさすがにずっと俯いているわけにもいかないので、クラリスに目を向けた。
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