Chapter 11-1
「もう大丈夫だ。傷が完治するまでは二、三日かかるだろうが、命は助かったぞ」

神官の言葉に胸をなで下ろす三人。
よほど安心したのか疲れていたのか、ベッドに入った途端に三人とも寝息を立て始めた。


その夜、一人目を覚ました人物がいた。
キースである。

「痛っ……」
起き上がろうとするが、全身がひどく痛む。傷はないようだが、なにか見えない針で刺されたように、鋭い痛みを感じた。
何とか体を起こし、壁にもたれかかる。

(……俺は助かったのか……あのままにしておいてくれたら良かったのに)
キースは長いため息をついた。
(なんで……なんで俺なんかのためにあんなに必死になるんだよ……俺はあいつらに黙っていなくなったんだぞ……)
彼には三人があそこまでして、傷だらけになってまで、自分を助けようとした理由がわからなかった。
闇に支配されていた時の記憶は全くといっていいほど、ない。しかし、アレクにマジャスティスを唱えられてからは、かすかに覚えがあった。

(俺は……取り返しのつかないことをしてしまった……でも、あのままアレクたちと旅を続けるなんて出来なかった……だったら……どうすれば良かったんだ……!!)
キースはベッドから出ようとしたが、体の痛みと、物音で目を覚ました神官の「動いてはならん! おとなしく寝ていなさい!」という厳しい口調に、素直にベッドに潜らざるを得なかった。


翌日、三人が目を覚まし、向こうの部屋のベッドを覗きこむと、キースは静かな寝息を立てて眠っていた。またどこかへ消えてしまうのではないかと危惧していたアレクとクラリスは、その様子を見てほっと息をついた。
神官は、キースが回復するまでは三人も泊まってよいと言った。アレクたちにとって、これは嬉しいことだった。彼らは、キースを置いてどこかに行きたくはなかった。キースがまた居なくなりそうだったからだ。

「じゃああと三日ぐらいお世話になろうか。二人とも戦いで疲れただろうから、ゆっくり休んでね」
アレクはそう言うと、キースの部屋に入った。

その様子を、二人はじっと見つめていた。
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