Chapter 8-6
ルザミから南東に船を進め、三人はエジンベアの城がある島にたどり着いた。
しかし……。

「見ず知らずの旅人を城には入れられん。立ち去るがいい」
と、門前払いをくらってしまった。

「なるほど……あの人の言ってた意味がわかったわ……」
クラリスが軽い笑いで言う。
「確かにな……」
ラルドも相槌を打つ。
「絡みにくいって言うか、絡めないよね……」
アレク、全くの正論。

が、当然城に入らず終わることはできない。というかさせない。

「ちょっと近くに来て……」
クラリスが二人に頼んだ。
「「???」」
二人は顔を見合わせたが、素直にクラリスに従った。
「いくわよ……レムオル!」
クラリスがそう言った途端、なんと三人の体が消えていくではないか。
これには二人も驚いた。
「何だい? この呪文は……」
「この前から、夜に本を見て練習してたの。レムオル、透明化呪文よ」
クラリスはそう言うと、近くの花を指差し、これまた消して見せた。
「……素直に驚いた」
ラルドもそう呟く。

ともあれ、これでエジンベア城に潜入することが出来る。
三人は門番の横を通り抜け、城内に入った。

内部は城にしては殺風景で、台所などごくありがちな民家とさほど変わりない。
コックの会話も自然と聞こえる。

「それにしても、なんだか大変だな。俺は王さまの考えには賛成できないな……」
「いくらうちの戦力が弱いからって、こんな手は使いたくないよな。ついに今日か……」
三人は聞き耳を立てたが、コックたちの会話はここで途切れた。しかし、今自分たちは透明。話しかけても意味がない。しかも、もともと不法侵入なので、呪文の効果が切れるとこれはこれで困る。最悪の場合、牢にぶち込まれることも考えられる。

そんな事情で、仕方なく三人は城を出た。それからほどなくして、呪文の効果が切れ、彼らは見えるようになった。
「コックたち、えらく意味深な会話していたな……」
「ええ、気になるわ……何だか胸騒ぎがする」
「うん……今日は宿に泊まってちょっと確かめてみようか」

一体今日何が起こるのか、気になりながらも、三人は眠りについた。
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