Chapter 8-5
忘れられた果ての島、ルザミ。

アレフガルドの世界でいうと、ちょうどザハンに似た感じである。
村人の反応も似たり寄ったりだったが、ここにもキースが立ち寄ったらしく、噂がところどころで聞かれた。

キースは村人たちに、己を磨く修業で世界を回っている、と告げたらしい。アレクとクラリスは、それを聞くと少し熱いものがこみ上げるのだった。

「そのキースって青年なら、ムオルの村に行ったわ。そこは、勇者アルスの父、オルテガがかつて住んでいた村なのよ」

確かにキースにとっては行きたくなる地だ。

「わかりました。よし、次はムオルに――」
「ちょっと待て」
ラルドが難しい顔で言った。
「よく考えたら、このままキースの後を追っても、多分追いつけないような気がする。なら、俺たちも自由に旅をする方があいつと鉢合わせする確率は高いと思うんだが」
「確かに言われてみればそれもそうね……」
クラリスもラルドの意見には賛成らしい。

「うーん……分かったよ。じゃあ、僕たちは南東に行こうか!」
切り替えも大事なことを、アレクは心得ていた。

「南東なら、エジンベアの国があるわよ。でも、どうも絡みにくい国だから、気を付けてね」
村人は笑顔で三人を送り出した。

船に再び乗り込み、エジンベアを目指す。この先、エジンベアで何が起こるかを、三人はまだ知る由もなかった。
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