Chapter 8-4
「おい、ちょっと聞かせろ」
「なんだい、ラルド……血相変えて」
アレクはラルドの気迫に押されながらも言葉を絞り出した。
「お前たち……お前たちの言うキースとは、ルプガナ出身で、レグルスの家で育った若者のことか?」
「え、ええ、そうだけど……それがどうかしたの?」
クラリスがそう答えると、ラルドが驚愕した。
「そんなバカな……」
「ラルド、君はキースを知ってるの?」
「知ってるどころの騒ぎじゃない……まさかとは思ったが……」
どうやらラルドはキースとつながりがあるようだ。
それが分かれば、今度はアレクがラルドを問い質す立場に変わった。
「……君はキースとどんな関係なんだい?」
「……それは話す必要はない。腐れ縁、とだけ言っておこう」
ラルドが短く答えた。
「ちょっと待ってよ! もっと詳し……」
アレクが問い詰めようとしたとき、クラリスがアレクを止めた。
「人は誰だって暗い過去や思い出したくない記憶が一つや二つはあるものよ。ここは彼から話してくれるのを待ちましょう。ね?」
諭すように話すクラリスに、アレクも折れた。

「うん……分かったよ」


船は順調に南下していくが、アリアハン近海に入ったときにマーマン数匹に出くわした。

「出たか! メラミ!」
アレクが先頭に立って攻める。しかし、水系のマーマンには効果薄のようで、どうにも足止め程度にしかならないようだった。

(アレクにはああ言ったけど、ラルド、相当悩んでるわね……動きにいつものキレが無いわ)
クラリスがバギマを唱えながら考える。
しかし、さすがに考え事をしながら勝てる余裕さは彼らにはない。バギマを外した一匹が、動きの鈍いラルドに襲いかかった。
「「ラルド!!」」
「ちっ……マズいな」
ラルドが左肩を押さえて呟く。

「ベホマ!」
アレクがすぐに傷を治した。
「すまないな……もう大丈夫だ!」

ラルドはそう言うと、剣を握り締めた。
そして、マーマンめがけて突っ込んでゆく。
「スカラ!」
クラリスがとっさにラルドにスカラをかける。ラルドのダメージを小さくするためだ。

「行くぞ! デルブラスター!!」
剣から炎が巻き起こり、マーマンをなぎ払った。マーマンたちは海深く沈んでいった。

「すまないな、戦いの途中に……」
「いや、気にしないでよ」
三人が無事を確かめて笑い合う。
ルザミの島は、もうすぐそこだ。
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