俺は女の子が大好きだ。だけど女の子達は俺の事を「良いお友達でいたい人」としてしか見てくれない。故に俺は、彼女いない歴イコール年齢という屈辱的な記録を保持している。「カノジョがどうこう以前に、ゴールド君は女の子に恋をしてないのよ」と幼馴染は呆れ顔で言うが、少女マンガや同人誌で培った恋愛観がどこまであてになるのかは不安な限りだ。
「恋をしてない……ねえ」
たしかに俺は、燃えるような恋に落ちたことは一度もない。女の子はみんな同じようにかわいくてみんな同じように好きだ。勿論付き合い出したら浮気なんてするつもりはないけど、とりあえず今は、みんな同じように思っている。
「トクベツ」や「ゼッタイ」がないのは恋ではないと幼馴染は言った。「トクベツ」な相手も、「ゼッタイ」に優先すべき誰かも、生まれてこの方できたことがない。これから先、誰か一人をずっと選び続けるなんてことが、俺にできるんだろうか。
今までそれが本当に不安だった。誰も本気で好きになれなかったらどうしようなんて中二病的な発想を抱いたりして、眠れなかった日もある。さっきまでは、もし万が一誰かに好意を向けられる時が来たとしても、自分が同じだけの思いを返せるとは思っていなかったんだけど。
「お前が……っ好きだ!」
帰り道、普段は俺の話をウザそうに、でも根気よく最後まできいてくれる親友が、珍しく口を開いた。そこから転がり落ちた言葉に、一気に体温が上がる。
あれあれあれ? なんなんこれ。俺、昨日まで恋ができないカノジョもできないー! って嘆いてなかったっけ。
親友のシルバーは顔を真っ赤にさせてぷるぷるしながら俺の答えを待っている。噛み締められた唇が愛しい。そうか、これが恋か。納得がいったと同時に、俺の鼓動が早鐘を打つ。
どくり。
恋の始まりは、音を立てて訪れた。
Listen!
「俺もお前が好きだよ!」
***
後日、シルバーと付き合い始めたことを話すと、「ほら、あたしの言った通りじゃない」と幼馴染はふんぞりかえった。
「え、コトネ俺に恋しとらんって言ったやん」
「だからー、あたしはちゃんと『女の子に』恋をしてないねって言ったじゃない」
にこやかにコトネは言う。さてはこいつ、全部わかっとって俺に何も教えてくれんかったな。
「当ったり前じゃなーい!」
心を読むな、心を。
「ねえゴールド君、前にあたし、『トクベツ』や『ゼッタイ』がないのは恋じゃないって言ったよね」
「あ、うん。言っとったな」
「……知ってた? 今までゴールド君の『トクベツ』も『ゼッタイ』も、全部シルバー君に向けられてたこと」
伊達に11年一緒にいた訳じゃないな。魔女のような幼馴染は、どうやらすべてお見通しらしかった。
******
そんな訳で金銀です!シルバーの出番少ない!
ゴールド君はおんなのこすきだけど、シルバーのことは周りが引くくらい大好きだといいなあと思った結果がこれでした。
どうしたら可愛い金銀が書けるんでしょう…(;´Д`)
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