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* 行け、戦えの続き *

 
よしもとばななさんの『キ/ッ/チ/ン』な赤緑が読みたいなと唐突に思いました。
※オリジナルと言うか、グリーンさんのお母さん(?)が出てきます注意!
 
 
レッドさん→最後の肉親だったおばあちゃんが死んで天涯孤独になる。が、その事をあんまり気にしてない。ひょんな事から大学の友達であるグリーンさんちに住む事になる。淡白。
 
グリーンさん→レッドさんの大学の友達。ノンケ。普通に彼女がいる。「天涯孤独になった」とさして深刻でもなさげに言ったレッドさんを家に置いてあげる。母と二人暮らし。
 
 
『キ/ッ/チ/ン』読んだのが……たぶん小5の時かな。だからあんまり話覚えてないんですけど、レッドさんはキッチンで寝るのが好きで、グリーンさんちのキッチンが気に入ったから住まわせてもらうことになるんだよ確か。冷蔵庫前でないと眠れないレッドさんを、特に気にしないグリーンさん。そんでグリーンさんのお母さんも気にしてない。
グリーンさんのお母さんは、実はお父さんで、所謂オカマバーと言う所で働いてる人だったりする。けど、やっぱりレッドさんも気にしない。これだけ美人だったらそういう所で働いてても普通だよなあと思うだけ。
そうしてレッドさんもグリーンさんもお父さんも互いの特殊さをあまり特殊だと思わない、不思議な空間で生活していく。
 
そんなある日のこと、グリーンさんが珍しくちょっとへこんで帰ってきた。
 
「おかえり。どしたのグリーン」
「……ただいま」
「ちょ、目赤いけど。泣いたの?

「うっさい……」
 
とか何とか言いながら、冷蔵庫の前に座って本読んでたレッドさんの肩に頭擦り付けるグリーンさん。どうしたのかな、と思いつつレッドさんは背中ぽんぽんしてあげる。この時点でお互いに恋愛感情は一切ない。
 
「……きょう、さあ」
「うん」
「フられた……お前のせいで」
「僕? 何で」
「っれが、レッドと仲良すぎ、って」
「……なに、その彼女、僕に嫉妬してんの? 僕おとこなのに?」
「わっかんねーよ! ……だから正直に、俺はこれがふつーだっつったら、別れようって……」
「今時のおんなのこって難しいね」
「うぅ……お前のせいなんだからな!」
「はいはい」
「お前のせい、だから……もうしばらくこのままでいさせろ」
「……うん」
 
よしよしって頭撫でてあげると、少し経ってから寝息が聞こえてきた。ちっちゃい子みたいなんだから、とか微笑ましく思うレッドさん。別にレッドさんは、グリーンが彼女と別れて嬉しいな、とか思わないけど、グリーンさんが「レッドを優先することは普通だ」って言ってくれたことはすごい嬉しい。こんな可愛いグリーンと別れるなんて変な彼女、ってグリーンさんの寝顔見ながら不思議に感じて首傾げるんだよ。ここまでグリーンさんのことを人として好きだと自覚していながら、その思いが恋愛感情だとは思ってないレッドさん。グリーンさんもおんなじ。 
 
たしか『キ/ッ/チ/ン』では、彼女がグリーンさんちまで殴り込みにくるんだよ。そんでレッドさんに「アンタたちは一体なんなのよ!」って切れるよ。そうなったとしても、レッドさんは特になんとも思わないよ。
 
「何って……見ての通り居候と家主の関係だけど」
「うそ! だって一つ屋根の下で暮らしてるのよ!? 何か無きゃおかしいわよ!」
 
元ネタだとレッドさん(主人公)は女の子なので、こんなこと言われてた気がする。それでも平然としてるレッドさん。
 
「だって僕がこの家で何よりも惹かれているのはこのキッチンで、キッチンと言う空間にはグリーンが不可欠なんだよ」
 
お父さんは仕事でいないし、レッドさんはそもそもやらないから基本グリーンさんがお料理する。だからキッチン=グリーンさんってイメージがレッドさんにはあって、キッチン丸ごと好き=勿論そこに含まれてるグリーンも好きって話なんだけど、当然おんなのこには伝わらない。
 
「もういいわ! グリーンも何も言ってくれないし、帰る!」
「え、あ」
「思えばグリーンは一度もわたしを優先したことなんてなかったわね。さよなら、だいきらい!」
 
ばたん!と荒々しくおんなのこが出て行く。グリーンさん、後追いかけない。
 
「グリーン」
「フられちゃった、な」
 
無理して笑うグリーンさんを見て、レッドさんがもっかい強く名前を呼ぶ。
 
「グリーン!」
 
へにゃってグリーンさんの顔が緩んだから泣くかと思いきや苦笑して、え、って驚くレッドさん。
 
「俺、そんなにお前のことばっかり考えてる?」
 
グリーンさんのこの一言で、二人とも自分の気持ちに向き合って考えればいい。これは友情なのかそうでないのかでぐるぐるしたらいいよ。友達以上恋人未満美味しいです。
その結果レッドさんが「好きなんだけど」とか切り出して両思いになればいい。
 
2011/08/01
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