私は失敗してしまったのだろうか
そんなことを考えながら自身の姿をまじまじと見てみる。
「前に生きていた頃と全く同じ見た目で生まれてしまったんだ・・・」
声にだしてみると余計に悲しくなる。別に姿に全く文句はないのだが。

はぁぁとため息をつきながら回りを見渡してみると、そこは今回生まれ育っている私の部屋だ。
ごくごく普通の部屋であることには違いない。しかし一点だけどうしても目に入ってしまう物があった。

黄色の布地に三角模様が入っているものだ。そんなに大きいものではないが、なぜ見える場所においてあるのだろう・・・

「このまま思い出さなければなぁ。知らぬが仏って本当のことだ。ああ嫌だ。」
今まで何も気に留めていなかったのに一度見てしまうと気になってしょうがない。

まずなぜ私は記憶を思い出してしまったのだろうか。
記憶が戻る前のことを思い返してみた。

それは学校帰りのことだったかな?

「名前ちゃんー!今日もかわいいねぇ。一緒にかえろ?」
くねくねしながらやってくる男は我妻善逸という風紀委員のくせにやたら派手な格好している。
よく頭髪について冨岡先生によく殴られているが、悪い男ではないのだ。
そして家が近所ということもあり、よく私と登校をしている。所詮幼馴染というものだ。

「今日帰りに用事がるから先に帰ってていいって言ったよね?遅くなるかもしれないからいいって言ったのに」
「そんなぁぁぁ!やだよ!俺は一緒に名前ちゃんと帰りたいの!心配なの!」

ぎゃあぎゃあとうるさいなぁと思いつつ、よく毎日一緒に登下校してて飽きないなとも思った。
物心がつく頃にはずっと彼とは同じ学校で登下校を共にしている。
どんな天気でも彼は必ず一緒にいてくれた。

「本当に今日は無理って言ってるでしょ?そんなに私のことが何か信じられないの?私はもう高校生だよ?」
「うっ、それは知ってるけどお・・・。だってさぁ・・・」

もう、あんな思いするのは嫌なんだよ。って小さく彼はつぶやいた。
あまりにも小さいつぶやきに私は気づくことはなかった。だって私は彼のように耳はよくないから。

「今日はカナヲちゃんと、カフェに行く約束をしているの。二人で女子会をしたいのよ。
善逸もいたら女子会にならないでしょう?帰りは遅くはならないからそこまで心配しなくて大丈夫だよ。」

今日は最近知り合った栗花落カナヲちゃんとカフェに行く約束をしているのだ。
彼女は学校の三大美女と呼ばれるだけあってとてもかわいらしい人だ。
口数はそんなに多くはないけど、優しい人であるということは少し話をするだけでも伝わってくる。
そんな彼女ともっとお話をしたいと思い今回誘ったのだ。たまには女の子水入らずで話してみたいしね!

そんなことを善逸の告げると、ピクリと眉を動かして「カナヲちゃん・・・?」と反応をした。

「あれ?善逸、カナヲちゃんのことを知っているの?会ったことあった?」
「いや、会ったことはないけどさ・・・、うん、カナヲちゃんかあ・・・」

目を細めて懐かしそうにしている善逸を見ていると、なぜか心がキュッとなるのがわかる。
なんでそんな悲しそうな顔をするの?善逸のそんな顔を見ると心がざわつく。
そんな顔をさせるために生まれたんじゃないんだよってなぜか思ってしまう。
どういうことなんだろう。

「いつの間に三大美女のカナヲちゃんと知り合ったんだよおお!俺もお近づきになりたい!
なまえちゃんうらやましい!いいもん!それなら俺も炭治郎と伊之助たちと男子会しちゃう!」

うわぁぁんとべそべそしながら女子会に行くことを許可をしてくれる善逸。
さっきの表情とは裏腹に、そのよく見る騒がしい泣き顔になまえはほっとした。

「本当にごめんね。ありがとう善逸」
「いくら一人じゃないからって帰りは気をつけるんだよ?何かあったらすぐ連絡してね?」
「心配性だなあ、善逸は」



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