私は彼のことが気になってしょうがない
今時あんなに真っすぐな少年は見たことがない。
苗字名前はなんとしても彼にお近づきになりたい。
いや、見るだけでいい。

「よし、今日もパン屋さんに行こう。」
「またぁ?最近ずっとパンじゃない?」
「だって!彼に会えるのはそこだけなんだもん!」

私はとりあえず彼のいるパン屋さんに通うことにしてみた。
最初は彼目当てにパンを買ってみたのだが、意外とそのパンが美味しく
純粋にまた食べたいと思って行くのだ。そんなやましい感情なんてない。うん。

「はぁぁ聞いてよ。竈門くんが眩しくてしょうがない」
「はいはい、知ってる知ってる。竈門くん大好きだもんね」
「違うよ!大好きなんて恐れ多いよ!」
「いや、どういうことそれ・・・」

ふんすふんす!と私は心外だ!とばかりに否定をする。

「あのね。竈門くんはそんな言葉では言い現わせないのだよ。
あの真っすぐな瞳!そして誰にでも優しい!彼は神様なのかな?」
「いや知らんけど・・・」

友達は呆れているが私は本当にそう思っている。
遠くからしか見ることはできないけど、それだけで幸せなのだ。

今日も帰りにパン屋さんに寄って行く
カランとドアを開けると私の神様がそこにいる。

「いらっしゃいませー!あっ!最近よく来てくださる方ですね?
いつもありがとうございます!」
「い、いえっとんでもございません・・・っ」

なんと今日は話かけてくれたとな。思わず反応してしまったが、うまくしゃべれない

「あの、苗字さんですよね・・・?俺、竈門炭治郎と言います!
知らないかもしれないけど、同じ学年なんだ!」
「はひっ、よく存じてます・・・!パンおいしくて来てて・・・」

うまくしゃべれない。でも遠くからでしか見てない彼と話せる日が来るなんて最高だ。
「なぁそんな固くならずに話そう!せっかくよく来てくれているんだし。苗字さんのこと名前って呼んでもいいか?俺も炭治郎でいいから!」
「おおお、ありがたかき幸せ・・・」

小さく炭治郎くんって呟くと、彼はふわっと笑ってよろしくなって言ってくれた。

「名前のこと実は知っていたんだ。よく学校で見かけるし、いつもうちでパン買ってくれて
あんなにおいしそうに食べてくれるから嬉しかったんだ!」

そんなことを考えてくれてたなんて、なんて嬉しいんだろうか。
彼の頭の中に一瞬でも自分のことを考えてくれるだけで私は天に召されそうだ。

「そのお礼も兼ねて今度一緒にお昼食べないか?ぜひうちの新作を食べてみてくれ!」
「えぇっ!?そんな・・・いいの?」
「いいに決まってるだろう!ぜひ名前に食べてみてほしいんだ。」

そんなキラキラとした顔で言われたら断ることができない。

「う、うん、わかった」
「よかった!約束な!」

そうやってぎゅっと私の手を握ってきた。
握られた手から彼の体温が伝わる。
つい顔を赤らめてしまうと、彼はふっと笑って囁いた

「名前から甘い匂いするな・・・」

そんなことを彼に言われて私は心臓がでるかと思った。
そんな近くでしゃべらてしまったら身が持たない。

「た、炭治郎くん・・・?」
「楽しみにしてるな、名前」

あぁ、これはダメかもしれない。
そんな優しい顔をされたら嫌でもわかってしまう。


私の神様、あなたに恋をしてもよろしいでしょうか。


*PREV END#

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