「名前は・・・彼のことが好きなの?」
「えぇっ?どうだろう?私と善逸は幼馴染であって、それ以上でもそれ以下でもないよ?」
「・・・それで本当にいいの?もし彼に好きな人ができてしまっても応援できる?」

なぜそんなことを聞くんだろうか。私たちは幼馴染のはずだ。
彼のことは好きか嫌いかで言われたらそれはもちろん好きだ。
それが恋愛感情としてかと聞かれるとそれは違う気がする。だって私にはそんな資格がないから。

「・・・うん、応援するよ。だって幼馴染だから。」

そうへらっと私が笑うとカナヲちゃんはそっかとつぶやいた。

「もっと名前は自分の気持ちに素直になったほうがいいと思うよ」
「えっ?」
「だって、応援するって言ってる割には悲しそうな顔をしてるもの。」

私はどんな顔をすればいいのか、わからなかった。

そろそろ帰ろうかって話になって。私たちはカフェを後にすることにした。
帰りにカナヲちゃんと連絡先を交換をしてまた行こうねって話をしてさよならをした。

「自分の気持ちに素直か・・・」
別に私は隠しているつもりはなかったのだ。
善逸とは幼馴染だとずっと思っていたし、それ以上になりたいとは思っていなかったはず。
今日の私はおかしい。どうしてしまったんだろう?

そんなことを考えながら帰っていると、見覚えのある金髪が見える。
善逸も丁度男子会が終わって帰っているのかな?と思い彼に声をかけようと
「ぜん・・・」
「今日はありがとねえ!こんな可愛い人とおしゃべりできるなんてすごく幸せだよ!またお話しようねえ」

私はとっさに隠れてしまった。
誰と話をしているんだろう?ちゃんと見ていなかったが、隣にはかわいらしい女の子がいるではないか。
あれ?男子会は?そんなことをぐるぐると考えていると、二人はバイバイとそれぞれの道へと進んでいった。
はっとして私も帰らねばと思い、足を進める。
なぜか彼には会いたくないと思ってしまう。女の子としゃべっている所なんて普段なんとも思わないのに。

「あれ?名前ちゃん?どうしたの?」
「善逸・・・」

はっと顔をあげると目の前には善逸の姿があった。
さっきまで自分との距離はあったはずなのに。

「あ、あれ善逸・・・よく気づいたね」
「何言ってるの?俺、耳がいいの知ってるでしょ?名前ちゃんが歩いてくる音聞こえたんだぁ
結局帰りが一緒になるなんて俺たち運命じゃない・・・!?」

そう嬉しそうに話をする善逸に私はなんとも言えない気持ちになった。
あの女の子は誰?そう聞きたいのに聞けない。なんでうじうじしているんだ。

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