「カナヲちゃん、ごめんね。なんか困らせているみたいで・・・。
私、なぜかカナヲちゃんと見てすごく嬉しくなったの。どうしてもお話をしたい。いっぱいおしゃべりしたいって思ってしまったんだ。」

いきなりこんなこと思うなんておかしいよねって私はへらへらしながらカフェラテに口をつける。
口の中がほのかに苦い。もっと甘くすればよかったなってぐるぐると頭が回る。
そんな気まずそうな顔をしている私にカナヲちゃんは静かに口を開く。

「ううん、そんなことないよ。私も名前とまた話すことができてうれしい。」
「本当?そういってくれると嬉しいな。図々しいお願いかもしれないけど、お友達になってくれるとうれしいな・・・」

そう私がいうと彼女は嬉しそうに頷いてくれた。
私は、また彼女と親しい関係になれるのが嬉しかった。
・・・また?またってなんだろう。私たちは最近知り合ったばかりだ。
彼女もそう言っていた。おかしい話だ。私はどうしてしまったんだろう。
うーん・・・と考えているとカナヲちゃんは思い出したかのようにいう

「・・・名前は我妻善逸って人知ってる?」
「善逸?知ってるよ。家が近くて幼馴染みたいなものだよ。」
「・・・そっか、また会えたんだね」
「カナヲちゃん、それはどういうこと?善逸のことなにか知っているの?」

まさか彼女も善逸のことを知っているということだろうか?
でもさっき善逸と話をしていた時は、知り合いというわけではなさそうだった。
二人は何か私に対して隠していることがあるのだろうか。そう思うと少し私は悲しい気持ちになる。

「もしかして、カナヲちゃん、善逸のことが気になったりする?今度紹介しようか?」
「ううん、それはいいの。ただ・・・知っているか聞きたかっただけ。」
「そう?それならいいんだけど・・・」

私はなぜかほっとしてしまった。なぜか善逸とカナヲちゃんが出会って
もし、二人がいい雰囲気になってしまったら、私はどんな顔をすればいいのかわからなかった。
私と善逸は幼馴染のはずだ。今日の私はおかしい。どうしてそんなことを考えてしまうのだろう。
心がざわざわとする。ああ、嫌だ。


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