2日ほど休んで私は完全に復活した。
彼には随分迷惑をかけてしまった。
風邪を引いたとはいえ、家まで送ってもらってしまった。
家についたとき、お母さんびっくりしてたなぁ
最近は何か聞きたそうにしているが、そこは知らないふりをする。

「苗字名前!完全に復活しました!」
「よかったねぇ。病み上がりだから無理はしちゃダメだよ」
「はーい」

私たちは久々に公園のベンチで話をしている。
病み上がりといっても彼と会うのは1週間ぶりくらいなんだけどなぁ
割と心配性なのかな?

「この前のお礼と言ってはなんだけど、よければどうぞ」

何気なしにお菓子を渡すと彼は受け取った後、目を丸くしていた。

「やだ、これお菓子!?俺は幸せ者だ・・・」
「大げさだなぁ。私が作ったやつだから、あまり期待しないでね」

私はそんなに喜んでもらえるとは思わず、少し恥ずかしくなる。
善逸くんは、何に対しても否定は決してしないのだ。

「名前ちゃんの手作り!?大切にするね・・・」
「いや、食べてほしいかなぁ」

食べてくれないと腐っちゃうよ。
さぁ食べて食べてと促すと、残念そうに袋からお菓子を取り出す。
そして手に取ったお菓子をパクリを食べた。

「!!おいしい、おいしいよ名前ちゃん!」
「そっか、よかった」
「名前ちゃんはいいお嫁さんになれるよ!」
「善逸くんのお墨付きなら安心だね」

口にあったようでよかった。
私はほっと胸を撫でおろす。
頑張って作ったかいがあったようだ。

しばらく彼はもぐもぐと食べていたが、ふと手を止めた。

「名前ちゃん、俺さ、ずっと気になっている人がいるんだ」

私は突然のことに思考が停止した。
その話をするっていうことは、終わりも近いのか。
でも、私は気丈に振る舞う。

「そ、そうなんだ!どんな人なの?」
「そうだねぇ、一緒に居て楽しいし、優しいし、放っておけない人かなあ」
「いつの間にそんな人見つけたのー?善逸くん中々やるじゃん」
「そう?だから名前ちゃんときちんと話したいんだけどいいかな?」
「もちろん!今日はこの後用事あるから、明日の放課後でもいいかな?」

心が痛い。そんな楽しそうな顔しないでよ。
私以外の人にそんな表情をしないで。

「あ!ちょっと時間に間に合いそうにないから帰るね!」
「ちょっと、名前ちゃん?」
「また明日ねー!」

私は彼の言葉を遮るように去っていく。
今善逸くんの顔を見たら泣いてしまいそうだ。

ハァハァと走り、家に着くや否やすぐに自分の部屋に行く。
私は制服のままベッドに飛び込む。

「嫌だ、嫌だ。別れたくないよぉ」

最初からこんなことしなければよかった。
こんな気持ち知りたくなかった。

「でも私は引き留める術を知らない」

諦めるんだ名前。ただ契約が終わるだけだ。
仲はよくなったんだから、友達くらいにはなれるはずだ。
友達の恋くらい応援しよう。

ちゃんと告白する前に振られるなんて、なんて悲しいことだろう。
彼の手のぬくもりを、もう知ることができないなんて。

でも最後までは彼女でいさせてほしいな
私はどんな結末でも受け入れよう。

この日々は大切に胸にしまっておこう。


たとえこの恋が実らくても
それでも幸せだったよ



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