私は今日も大好きな炭治郎くんのことを考えながら登校をする。
鼻歌を歌いながら歩いていると、朝の校門には見慣れた金髪の子がいた。

「おはよう善逸くん、今日も風紀委員の仕事?」
「おはよう名前ちゃん!そうなんだよ!毎日毎日嫌になっちゃうよね!もうやだあの先生!」

そう言うと彼はわっと泣き出した。善逸くん涙もろいなぁ。
手に持ってるチェックシート涙でびしょびしょだよ。
私はさすがにかわいそうになり、ぽんぽんと頭を撫でた。

「嫌々言いつつしっかり仕事している善逸くんはえらいと思うよ」
「ぐすっ・・・名前ちゃん・・・!」

善逸くんはバッと手を広げて私に近づいてきた。
あと少しで私に触れるという所で善逸くんの間に人が入ってくる。

「おはよう名前、なにしてたんだ?」
「あ!炭治郎くんおはよう!善逸くんとお話してたんだけど、どうしたの?」

私が首をかしげると、いや・・・と彼は言葉を濁した。

「炭治郎!俺が後ろにいるの忘れてない!?」
「あぁ、ごめん善逸、おはよう」
「なんなのお前!?名前ちゃんと俺が話してたのに!」

そう言う善逸くんは大層ご立腹のようだ。
ぎゃあぎゃあと文句を言っていたが、突然言葉が止まった。
彼の顔をみると信じられないような顔で炭治郎くんを見つめた。

「炭治郎、お前まさか俺にしっ・・・もがっ」
「しっ!静かにしてくれ!」

言葉を最後まで言わせずに手で口をふさぐ炭治郎くん。
なにやら慌てているようだけど、どうしたんだろうか。
朝から様子がおかしい彼に私は声をかける。

「炭治郎くん、どうしたの?なんか様子おかしいよ?」
「いやっ、そ、そんなことはないはず・・・」

明らかにしどろもどろとしている彼に善逸くんは耐えきれず笑っていた。

「ぷぷ・・・!名前ちゃん、あのね炭治郎のやつ、嫉妬してるのよ!」
「嫉妬・・・?」
「そうそう!俺が名前ちゃんに触れようとするのが嫌なんだって」

そう楽しそうに彼が話すと炭治郎くんの顔がみるみると赤くなっていく。
誰にでも人当りのいい彼が嫉妬するなんて考えたこともなかったので驚く。

「そ、それ本当?」
「・・・・うん」

小さな声で肯定を呟く彼に私は胸が高鳴るのを感じた。
炭治郎くんも嫉妬することなんてあるんだ・・・
そう考えると、やっぱり自分は少しでも彼にとっての特別になれたのかなって実感する。

「・・・嬉しい」
「え?」

私は思わず思ったことを口に出していたようだ。
だって、あの炭治郎くんが嫉妬だよ?嬉しくないわけがない。

「名前は嫉妬されて嬉しいの?」
「うん!炭治郎くんになら嬉しい!」
「そ、そうか・・・?」

なんだか納得していなそうな顔をしているが、それでいいんだ。
炭治郎くんだったらきっと何でも許してしまう気がする。
私は重たい女なのだ。それくらい屁でもない。

「私が嘘ついているような匂いする?」
「しない・・・」
「なら大丈夫だね!」

私はニコニコと答える。
本音を言うならもっと私の事好きになってくれたらいいのに。
こんな嫉妬、かわいいくらいだ。
もっと好きになってもらえるように、頑張らなくちゃ。


「嫉妬してるところも好きだよ、炭治郎くん!」


(あの、名前ちゃん、俺の事忘れてない?)
(あ!善逸くん、風紀委員の仕事はいいの?)
(絶対忘れてたよね、これ)


*PREV END#

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