私たちは今日も一緒に帰る。
前より一緒に帰る日が増えたように思う。
私は日に日に彼を思う気持ちが高くなっているような気がする。
私はそんな思いを隠すかのように、いつものように振る舞う。

「それでね、今見てるドラマがすごくいい所なんだよ」
「俺も見てるよ!あのシーンとかすごいドキドキしたよねぇ」
「そうそう!早くヒロインとくっつけばいいのにって思う!」

私たちは今話題となっているドラマの話をしている。
主人公とヒロインが両想いなのに、すれ違ってしまう。そんな話だ。
お互いに好きと中々言わないからこちらがやきもきしてしまう。
まるで自分みたいだ。早く言えればいいのに。

「善逸くんはこのドラマのどんなところが好き?」
「そうだねぇ、ヒロインが主人公の事好きなくせに中々言葉にしない所・・・かな?」
「・・・そうなんだ」

ドキリとした。
まるで自分のことを言われたみたいだ。
善逸くんはまるで私の気持ちを知っているみたい。

「は、早くドラマの続きが見たいね」
「どんな結末になるのか楽しみだねぇ」

またドラマの話をつらつらと二人で話していると前から他校の人が歩いているのが見えた。
どこかで見たような気がするがどうにも思い出せない。

「お?お前もしかして苗字?」
「えーっと、田中くん?」
「佐藤だ!お前俺に告白してきたくせによく忘れてんな」
「あー・・・そうだったっけ」

そういえば中学の時に告白した気がする。
今思えばそんなに好きじゃなかったのかも。ただ顔がよかっただけだったし。

「苗字が中学のときはもさかったけど、今ならまぁまぁ見れる格好になったな。今なら付き合ってもいいけど?」
「イエ、ケッコウデス」
「は?俺から付き合ってやると言ってるのに?」

私に向かって手を伸ばしてくるので、ぎゅっと目を閉じた。

「お前誰だよ?名前ちゃんから離れろ糞野郎」

伸ばされた手をバシッと善逸くんが手を払った。
彼から発する言葉に私はびっくりした。

「ってぇ、なにすんだよ」
「だから汚い手で触ろうとすんな糞が」
「なに?もしかしてその冴えないやつが彼氏とか?」
「だから何?名前ちゃんはずっとかわいいわボケ」

彼が怒っているのなんて初めて見た気がする。
いつも優しい言葉で話してくれてるから、知らない彼を見ているようだ。

「はぁ?そんなブサイクな女なんて付き合いたくねーわ。お前らお似合いだわ」
「じゃあさっさと消えろゴミ」

佐藤くんが怒りながら去っていく。最初から話かけなければいいのに。

「だ、大丈夫!?名前ちゃん!?」
「全然大丈夫だよ!むしろ言い返してくれてありがとね」
「マジであいつ見る目ないよね!?次会ったらぶっ飛ばそ」

私はそんな彼に笑ってしまう。
善逸くんはポカンと私を見る。

「善逸くんって・・・意外と口悪いんだね」
「そうかな!?ご、ごめんねぇ!?」
「ううん、嬉しかった」
「口悪いほうがいいの!?」

知らない一面を見れて嬉しい。
まさにこれはギャップ萌えというやつなのだろうか

ずっとそばにいたのに、また新しい彼を知ってしまった。

「どんな善逸くんでも、おもしろいなぁって」
「それはどういうこと名前ちゃん?」

もっと彼のこと知りたい、私も教えるから。



*PREV NEXT#

Bookmarknamechange


 

TOP