「見てください!この腕を!」

私は高らかに腕を上げる。その手首にはキラキラしたものが映る。
おはようからおやすみまで一緒にいる相棒だ。

「ふーん、それって校則違反じゃねぇの?」
「感想がそれですか!?」

私は相変わらず美術室にお邪魔しているのであった。
そんな私の話を流している人は、仮にも教師である宇髄先生であった。

「いや、校則違反なのはバリバリわかっているんですけど、そこはお世辞でも似合ってるとか言いません?」
「そうだな。いつも地味だからそれくらいつけたほうがいいんじゃねーの」
「褒め方が雑!」

私はそんなことを言ってほしいわけじゃないんだけどなぁ
私はスッと自分の手首についているものを眺める。
決して派手じゃないけど、小さい赤いお花がついていてシンプルで可愛らしいものだ。
この赤いお花が炭治郎くんの目の色と似ている気がする。

「竈門がブレスレットをプレゼントねぇ」
「なんで炭治郎くんからもらったってわかったんですか?」
「逆にわかんないほうがびっくりだわ。しかもうまくいったんだろ?」

先生に指摘されてボッと顔が赤くなる。
そうだ、私は炭治郎くんとキスを・・・
思い出すだけでドキドキしてきた。まるで夢みたいだ。

「浮かれすぎだろ。しかもそれ意味わかってつけてんの?」
「ブレスレットに意味とかあるんですか?」

ただ単に似合いそうだから買ってくれたのかと思ってた。
意味があるならぜひ聞きたい。

「全くこれだからガキは。意味はなぁ・・・」

こそっと耳元で意味を教えられて、私は更に顔が赤くなるのであった。


「名前!一緒に帰ろう!」
「う、うん!帰ろっか!」

放課後私たちは一緒に帰ることになっていた。
私はどうせ放課後真っすぐパン屋に向かおうとするので、だったら一緒に帰ろうという話だ。

「名前は今日のパンでどれが一番好きだった?」
「そ、そうだねぇ、今日はシンプルに塩パンかなぁ?」
「そっか!あれはうちでも人気なパンなんだ。今度また持ってくるよ」
「うん!ありがとう」

しばらく沈黙してしまう。
宇髄先生に言われた言葉が頭がぐるぐると回る。
炭治郎くんが意味を知って送っているとは限らないし、いやでももしそうだったらって考えてしまう。

「名前?どうしたんだ?」
「ん?なにが?」
「何か悩んでいるような匂いがしたから・・・」

そういえば彼は感情の匂いもわかるって聞いた。
物理的な匂いじゃなくて感情的な匂いもわかるって便利でいいなぁ。
でもこういうときって隠せないからちょっと悔しい。

「やっぱりバレちゃう?あのね、聞きたいことあるんだけどいいかな?」
「どうしたんだ?何かあった?」
「あの、このブレスレットって何か意味あったりする・・・?」
「・・・!!」

彼の顔がみるみる赤くなっていく。
え、嘘だよね?まさか本当に意味あったのかな?

「ご、ごめん、気持ち悪いよな・・・」
「え!?なんで!?すごく嬉しいよ!一応私の勘違いだったら悪いんだけど・・・」

私はこそっと彼の耳に意味を呟く

「これであってる?」
「うん・・・、でもそこまで強い意味はないんだ」
「えー?そのまんまの意味でもいいのにな」

私は炭治郎くんにならすべてに応えてあげたい。きっと私も重たい女なのだ。

「独占欲が強いところも好きだよ、炭治郎くん!」

(ブレスレットの意味は拘束したい、束縛したい。なんて素敵な贈り物だろう!)




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