記憶を取り戻した私はカナヲちゃんとカフェで話をすることにした。
あんなに仲の良かった子も忘れているなんて申し訳なかったからだ。
だから私は彼女を呼び出して謝ることにした。

「カナヲちゃん!本当にごめんね!私ずっと会いたかった!」
「・・・?突然どうしたの?」
「私、あんなにあっさり死んじゃってごめんねぇぇぇ」
「・・・もしかして鬼殺隊のこと思い出した?」

私は涙を流しながらコクリと頷く。
彼女の話を聞くと私の死後みんな悲しんでいたと。
そりゃそうだ。私も誰かが死んだら悲しい。

「でもまた記憶を持って話せることが嬉しい。カナヲちゃん、またよろしくね」
「うん、よろしくね。そういえば善逸とはどうなったの?」
「あー、えっとねぇ、付き合うことになったよ・・・」

少し恥ずかしくなってモジモジとしてしまう。
同僚であり、今は幼馴染としての関係が長かった分、恋人となるとは・・・
一度は死んでいる身なので感慨深い。

「そっか、おめでとう」
「ありがとう」
「キスとかしたの?」
「・・・ぶふぉっ」

いきなりこんなドストレートな質問が来るとは思わなかった。
そうだよね、高校生にもなればそういう話になりますよね。

「まだ手つないだくらいかなぁ・・・?」
「そうなの?てっきりもうしているかと思ってた」

私もそう思っていた。
しかし思った以上にあの男は私を大事にしてくれるのである。
手を繋ぐ以上のことはしていない。なんて清い交際だ。

「でも今の時代待ってるばかりじゃよくないよね・・・!私がんばる!」
「うん・・・?がんばって・・・?」

カナヲちゃんが不思議そうにしているが、私の目標は決まった。

今日は善逸とデートをする日だ。
私は密かな目標を持って挑む日でもある。

「名前ちゃん!お待たせ!寒くなかった?」
「ううん大丈夫だよ。行こっか」

私たちは手を繋いで歩いていく。
今日はカフェに行く前に映画を見ようという話になった。
最近流行りのラブストーリーらしい。
私も好きな俳優が出演しているので、楽しみである。

(ずっとあなたのことが好きだったの!)
(俺も好きだった!でも君を残して死んでしまう・・・)
(私も一緒に逝きますわ。来世で幸せになりましょう)

ボーッと映画のスクリーンを見る。
最後はお互い血を流しながらキスをして終わり。
来世に期待して死ぬなんて、少し自分たちと似ているなと感じる。
さすがに心中なんてものはしていないが。
でも最後にお互いを確かめるようなキスは素敵だったな。
私も死ぬ前くらいにはあんな大胆なことをしてもよかったかもしれない。

しばらくするとエンドロールが流れる。
エンドロールが流れる間、ちらほらと席を立って出ていく人がいる。
私はどうしようかな?と思いチラリと横を見ると、バチッと目があった。

「善逸?どうした・・・の」

突然彼の顔が近づいて口に温かい感触が伝わった。
これはもしかしてキスというものでは・・・?

「映画見てたら、したくなっちゃった。何もしないでさようならなんてもう嫌だから」
「〜〜!!」
「名前ちゃんの心の音すごいことになってるね?」

ずるい人だ。私が目標としていたことをそんなにあっさりと達成してしまうなんて。
こんなにドキドキしているのを聞かれているのも悔しい。

「・・・バカ」

悔しいから今度は私から彼の口を奪って言ってやるのだ。

「善逸の心臓もバクバクしてるね?」

彼の顔が真っ赤になってたけど、しーらないっ




*PREV END#

Bookmarknamechange


 

TOP