クリスマス
私は先日彼と仲直り?としたおかげでテンションがMAXになっている。
やはり彼の言動が私の力になっているのだ。

「えへへへへ、先生この前はありがとうございました!」
「その顔を見ると、うまくいったようだなー」

私はたくさんのお菓子を持って美術室に来ていた。
相変わらず先生は絵を描いていたが、今は筆を止めていた。

「先生のおかげで距離はグッと縮まったと思います!」
「はいはい、よかったですねー」
「・・・先生は気づいていたんですか?」
「なんのことかねぇ」

あの時先生がニヤニヤしていたのは、彼が美術室に近づいてきたのがわかっていたからだろう。
だからわざと私にああいう態度を取ったのだ。
本当に私に気があるわけではなかったのだ。先生なりの優しさだったのかな。

「今日はクリスマスなので、お礼に先生にお菓子をプレゼントしますね」
「もうそんな日か。ありがたくもらっとくわ」

そうなのだ。今日はクリスマスである。
私はこの後約束があるので、約束の前に先生の所に寄った感じだ。

「この後、竈門に会うんだろ?何か渡すのか?」
「そうですね。喜んでもらえるかわかりませんが・・・」

実はプレゼントも買っていたりする。
まだ恋人というわけではないのに、用意するのは重いかなぁと思うけれど
あくまでいつもパンを用意してくれているお礼だと言えばいいだろう。
ふと時計を見るとそろそろ約束の時間になりそうなので、先生にあいさつをして美術室を後にする。


私は空き教室に向かう。
彼のことを考えると早足になる。プレゼント喜んでもらえるといいんだけどな。
ガラッと開けると、すでに誰かがいるようだった。

「あ!名前!来てくれてありがとう」
「ううん、全然大丈夫だよ。今日はどうしたの?」

教室にいたのは約束をしていた彼であった。
今日は彼に放課後時間があるか聞かれたので、当然空いてることを伝えた。
彼と過ごす時間より大切なものはない。
丁度私も彼にプレゼント渡せたらなぁと思っていたから。

「今日ここに呼んだのは名前に渡したいものがあって・・・」
「あ!丁度よかった。私も渡したいものがあるんだー」
「名前も用意しててくれたのか?」

今日はクリスマスだし、呼び出されたらなんとなく予想はできる。
でも彼のことだからクリスマス仕様のパンとかくれるのかな?と考える。
まだ恋をわかっていない彼のことだから、友達として何かくれるのだろう。

「先に私から渡してもいい?いつも首元寒そうだなって思ってマフラーを用意したんだ」
「マフラーか!ありがとう!確かにそろそろ買おうか迷っていたんだ。」

はい!と渡すと、嬉しそうにマフラーをもらってくれた。そんな彼を見ると私も嬉しくなる。
用意してよかったなとほわほわとした気持ちになる。

「俺はこれを・・・喜んでもらえるかわからないけど・・・」
「わぁ!ありがとう!開けてもいい?」

私は、おずおずと渡された紙袋を受け取る。
思ったより小さな紙袋に入っているから、パンではなさそう・・・?
それともラスクとか小さめのお菓子が入っているのかなと開けてみると意外なものであった。

「・・・ハンドクリーム?」
「禰豆子と相談して、女性にはこういうものがいいって・・・」

女性の好みがあまりわからないからって彼はいうけど、予想外な物過ぎて驚いた。
それと同時に他の女の子にもあげたのかなって少し思ってしまう。過度な期待はやめよう。

「う、嬉しいよ!他の女の子も喜ぶよ!」
「い、いや!プレゼント自体、名前のしか用意してないんだ。気に入らなかった?」

私だけって聞いた瞬間、顔が熱くなるのがわかる。
そうやって彼はすぐに心臓に悪いことをしてくれる。全くどうしてくれるんだ。

「ううん!すごく嬉しい・・・!ありがとう!た、炭治郎くん・・・」
「・・・うん、よかった」

まだ呼びなれない名前で感謝を伝えるが、恥ずかしくて顔を見ることができない。
しかし、彼は少しだけ嬉しそうに返事をしてくれたような気がする。


(こういう所が好きだよ、炭治郎くん!)


今回ばかりは言葉にして伝えるのが難しそうである。


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