9月
新学期が始まり、また竈門くんと学校で会える日々が来た。
最近ではお昼も一緒に食べることが多くなっている。
二人きりというわけではないけど、善逸くんや伊之助くんと話すのも楽しかった。
なぜ嘴平くんじゃなくなったのか、彼が堅苦しい言い方がすごく気に入らないらしいからだ。

「今日のパンもおいしいね!竈門くん!」
「気に入ってもらえて嬉しいぞ!俺のおすすめはこのパンだ!」

横で伊之助くんがもぐもぐと大量のパンを食べている中、善逸くんがしゃべる

「名前ちゃんと炭治郎、仲がいいねぇ」
「そ、そうかな?えへへへ」
「俺が見る感じでは善逸のほうが仲良さそうに見えるけどな!」

なぜ竈門くんは善逸くんとのほうが仲がいいと思っているんだろうか。
私、やっぱり竈門くんにあまり好かれていないんじゃないのかなって少し落ち込む

「善逸くん、私は竈門くんに嫌われているのかなぁ・・・?」
「そんなことないと思うけど?ただ炭治郎にも思う所があるんじゃない?」

コソコソと善逸くんと話をする。嫌われていないならいいんだけど。

「二人でなにを話をしているんだ?」
「あ、竈門くんがかっこいいなっていう話!」
「いや、そこは素直に伝えるのね?」

竈門くんの素晴らしさを語るならいくらでも話せると思う。
私は常に好意を伝えているつもりだけど、まだ何か足りないのだろうか。
それ以上となると後はお色気的なものになってしまう。さすがにそんなことはできない。

「権八郎!もっとパンを寄越せ!」
「はいはい、急いで食べるんじゃない。まだまだあるからな。ほら善逸も遠慮せずに食べて」

さすが長男であるだけに、周りへの気配りがとても上手い。
みんな竈門くんのことを気に入るのはわかる気がする。

「別に俺はかっこいいことはないと思うんだがなぁ・・・」
「そんなことないよ!竈門くんはかっこいいし、優しいし、素敵だし・・・」

私がペラペラと話をしていると竈門くんは少し恥ずかしそうにする。
そんなに謙遜しなくてもいいのにな。

「本当に苗字さんが思っているほど、俺はできた人間じゃないんだ」
「そうなの?私はどんな竈門くんでも好きだよ?」

彼は少し困ったような顔をする。あ、まただ。
いつも好きだというと困った顔をする。
私はそれを見なかった振りをする。

「あ、そういえば来月はハロウィンだねぇ」
「もうそんな時期か!またハロウィン向けのパンを作らないとな!」
「はろうぃんってなんだそれ!食えるのか?」

伊之助くんがハロウィンという言葉に食いついてきた。
本当に食べることが好きなんだなぁとほっこりする。

「伊之助ハロウィンしらないの!?簡単に言うと仮装をしてお菓子をもらう日なんだよ。女の子の色々な仮装が見られるから、俺は楽しみだなぁ」
「私も楽しみだな!今年はどんな格好をしよう?」

私は割とイベント事は好きだ。楽しめることはとことん楽しみたい。
できれば今年は竈門くんの仮装も見てみたいなぁと思ってしまう。

「炭治郎は何か仮装しないのー?」
「俺は家の手伝いをしないといけないからな・・・
あ!そうだ。ハロウィンの日にはうちに来るといい!お菓子を用意して待ってるから」

竈門くんの仮装姿を見れないのは残念だけど、来てほしいと言われたら行かないわけがない。
仮装したままお邪魔してちょっとビックリさせようかな?
あとで善逸くんたちと相談してみよう。

「苗字さん達が来るの楽しみにしているな!」
「竈門くんのためなら何があっても必ずいくよ・・・!」

無理をしなくていいからな!と心配をされるが行かない選択肢はない。
彼にはビックリさせるような格好をしていきたいな。
今からその日がとても楽しみだ。
ハラハラと心配そうに彼は見ているが、私はニッコリとする。



そして、心配そうに見ている彼に私は伝えるのだ



「心配性な所も好きだよ、竈門くん!」





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