私には大好きな人がいる。

「善逸さーん!こんにちは!」
「名前ちゃん!そんな急いでどうしたの?」
「善逸さんを見かけたので走っちゃいました!」
「え?そんな理由で?かわい過ぎない?」

女の子にやたら甘い人、私の先輩である我妻善逸さんだ。
前にたまたま同じ任務で、私が鬼にやられそうな時に助けてくれたのが彼である。
彼は鬼を倒した記憶がないみたいだが、その日から私の憧れの人となった。

「えへへ、今日は善逸さんとお団子食べようと思って持ってきたんです!」
「何この子?いい子過ぎない・・・?」

善逸さんは私が何かするたびに大変感動している。
よっぽど周りの環境が劣悪だったのかな・・・
もし本当にそうなら、私が善逸さんを甘やかさなければ!

「今、お茶持ってくるので座って待っててください」
「えぇ!いいよ!それくらいは俺にやらせて?」
「いいんですか?それならお言葉に甘えて・・・」

彼は鼻歌を歌いながら台所に向かっていった。
よっぽどお団子を食べたかったんだなぁ
しばらくすると彼がお茶を持ってきてくれた。

「お待たせ!名前ちゃん、熱いから気をつけてねぇ」
「ありがとうございます!いただきます」

ずずっとお茶を飲んで一息をつく。
それからお団子を一口食べると甘さが体に染みるようだった。

「このお団子おいしいですね!ずっと気になっていたので買ってよかったです!」
「うんうん、そうだねぇ」

なぜか彼はニコニコとこちらを見ているだけでお団子に手をつけていない。
私が余程お腹空かせているように見えたのだろうか。もしそうなら恥ずかしい。
私はなんとなく、彼に向かってお団子を持つ

「よかったら食べますか?あーん」
「え?え?どうしたの?名前ちゃん大胆じゃない!?」
「いらないですか・・・?」
「いる!いるに決まってるじゃない!」

あーんと彼は私の手からお団子を食べる。
今更ながらやっぱり大胆だったかなと少し恥ずかしくなる。

「お、おいしいですか?」
「うん!名前ちゃんに食べさせてもらったから余計おいしく感じるなぁ」

もぐもぐと彼はおいしそうに食べる。
お団子買ってきて正解だったなと私もお団子を口に入れる。

「あの、名前ちゃんは誰にでもそういうことするの・・・?」
「そういうことってなんですか?」
「そのお団子とかを誰かに食べさせたり、さ・・・」

うーん、と私は考える。過去に誰かにやったことはあるだろうか
考えてみたけど、彼以外にやったことないし、やりたいとは思わない。
それ私は誰にでもやるような女に見えるのだろうか?

「善逸さん以外にやったことないですよ・・・?」
「〜〜っ!!」

善逸さんがすごく悶えている。どうしてしまったんだろうか?
やっぱり男性にそういうことするのはよくないかなぁと反省していると

「名前ちゃん、ごめん」

何が?と思った瞬間手を引かれて口に何かあたる。

「あっ、んんっ、ぜ、善逸さん?」
「あー、もう無理、名前ちゃんかわいすぎる。そんなにドキドキした音をずっと出されたら俺、期待しちゃうよ?」

そういえば噂で彼は音に敏感であると聞いたことがある。
人の心音まで聞こえてしまうのだろうか?ということはずっと気持ちに気づいて・・・?
顔がとても熱い。それでも彼は私の気持ちを言葉で聞きたいのだろう。
ならば私は彼に伝えよう

「はい、期待してください。私は、善逸さんが好きなんです」
「お、俺も名前ちゃんが好きだよ・・・!」

俺が先に言うべきだったよねぇぇぇとしゅんとしているが、そんな所も愛おしい。

「改めて言わせてもらうね・・・!名前ちゃん、俺と恋人になってくれませんか?」
「はい、喜んで」

この幸せな気持ちも彼の耳に伝わっているだろうか。
そうだといいなと思いつつ、私は呟いた。


「善逸さん、私は幸せです」





*PREV END#

Bookmarknamechange


 

TOP