私は最近不満を持っている。
それは恋人に対してだ。
付き合う前からそうだけど、やけに女の子にベタベタしてない?
付き合ったらそういうの減るかなって思ったけど、そんなことはなかった。

「というわけで、炭治郎。協力をして?」
「なんで俺に頼むんだ・・・。」
「だって炭治郎しかいないんだもん!」

うわぁぁんと私は机に突っ伏した。
確かに彼は優しいけど、それは他の女の子にも同じ気がするもん

「私は善逸に焼きもちをやかせてみたいの!」
「そんなことしなくても大丈夫だと思うんだが・・・」

炭治郎はこの計画に乗り気ではないが付き合ってもらうぞ。
私ばかり焼きもちやいてバカみたい。
自分ばかりが好きな気がして少し悲しくなった。

「じゃあ、今日はよろしくね」
「ううん・・・」

今日は善逸がそろそろ任務から帰ってくるから、それに合わせて私は計画を実行する。
まだかなと思っていると、善逸の声がしてきた。

「わぁぁぁん!今回の任務も大変だったよ!何度死ぬかと思ったか!
名前ちゃんも帰ってきてるよね!?どこにいるのお・・・」

彼が庭にやってきた所で私は炭治郎に腕を回す。

「炭治郎って優しくてかっこいいね!頼りになるなぁ」
「えっ・・・名前ちゃん・・・?」

私は罪悪感を持ちつつ、善逸が来たことを今知ったかのように振る舞う

「あ、善逸帰ってきたんだね。お疲れ様」
「え、あ、うん・・・」

彼は炭治郎の腕をめちゃくちゃ見ている。そうだよね、気になるよね。
きっと善逸ならきゃんきゃん喚くんだろうなと思った。

「最近ね、炭治郎のこと素敵だなって思ってたの。善逸もそう思わない?」
「あ、そ・・・」

善逸は静かにそう言って立ち去った。無表情で。
私は顔が青くなるのがわかった。これは非常にまずいのだと。

「た、炭治郎・・・私、やらかした?」
「まぁ・・・早く善逸を追いかけてやってくれ」

もう二度とこんなことするなよーって炭治郎の言葉を聞きつつ善逸を追いかける。
こんなことしなければよかった。あんな顔初めて見た。

「っ善逸!待って!」

私は彼を追いかけて、腕を引っ張った。
彼はこちらをチラっと見ると、また顔を背けた。

「なに?名前ちゃん、炭治郎の所に戻ったら?」
「ごめんね!炭治郎とはなにもないの。善逸に焼きもちやいてほしかっただけ・・・」

私が正直に事情を話すと、はぁぁぁとため息をつかれた。
さすがに嫌われたかなって落ち込むと、ぎゅっと抱きしめられた。

「よかったぁ・・・俺、名前ちゃんに振られちゃうと思ってた」
「そんなわけないよ!私は善逸のことが好きだもの」

私はポンポンと善逸の頭をなでる。
しばらく撫でていると、手をつかまれてそのまま口づけをされた。

「んんっ、ど、どうしたの・・・?」
「俺以外、触らないでほしいし、触らせないでほしい」

いつもと違う雰囲気にちょっとドキッとしてしまう。
わ、わかったって言うと彼は満足そうに笑う。

「なんで名前ちゃんは、そんなことをしたのかな?」
「そ、それは善逸が他の女の子とベタベタしているから・・・」
「あー・・・、そうね。それは俺が悪いよね。名前ちゃんに甘えすぎちゃってたなぁ」

彼はしゅんとしていて反省しているようだ。
これで問題は解決したかなって思うと、彼はちゅっと手の甲に口をつけてきた。
あまりにも突然なことに私は顔を赤らめてしまう。

「これからは名前ちゃんにしか触れないから、その分覚悟してね?」



私は彼の知らない一面を見てしまったのかもしれない。


*PREV END#

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