「―――痛いなぁ・・・」

私は血を流している。あれ、今新しい任務をしているんだったか・・・
今回、彼と同じ任務で、二手に分かれて戦っていたはずだ。
彼は一緒に行こうとごねていたが、数が多いから分かれて離れようと言ったんだ。
しかし今回の鬼は結構手強い相手だったらしい。隙をつかれてしまったようだ。
最後の力を絞って倒せたのはいいものの、これはまずいかもしれない。感覚がなくなってきている。

「あーあ、甘いもの、食べたかったなぁ・・・」

瞼が重い。眠くなってきたなぁ。ちょっとくらい寝てもいいかな。
そう考えていると遠くから声が聞こえてきた。

「名前ちゃん!大丈夫!?」

駆けつけてくれたのは、約束をしていた彼だった。

「ごめん、ちょっと約束を守れそうにないかも。」
「しゃべったらダメだよ!そんなことは気にしないで!いつでも行けるんだから・・・!」
「違うの、ずっと無理そうかも・・・」

そう力なく笑うと、彼は涙を流しながら話す

「嘘でしょ、名前ちゃん。俺を置いていかないでよ・・・!」
「大丈夫だよ、君は強いんだから。泣かないで」

彼は私なんかよりずっと強い。
意識はなくなっているかもしれないけど、実力は本物なんだから。

「もし、来世というものがあれば、一緒に行こうね」
「本当にそんなものがあるんだったら、必ず名前ちゃんを見つけるから!」

彼は泣きながら新しい約束をしてくる。
来世なんて、正直信じてなんかいないけど、あったらいいなって思ってしまう。

「ふふ、覚えてるかなぁ・・・?」
「じゃあ、思い出せるように、俺の物持って行って」

そう彼が言うと、羽織の一部を破って私の手に握らせる。
彼の手ってこんなに暖かいものだったかなと思いつつ
綺麗な金髪の彼を見ながら、私はつぶやく

「またね、善逸」

おやすみなさい。


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