階段下の秘密の情事



「パープル」


「黄色」


「何言うてんねん。エロかわなパープルフリルや」


「お前、千歳の好きな色知らんのか?黄色チェックに決まっとるやろ」



小さい小さい声で外階段の下に身を潜め、肩をくっつけながら至近距離で白石と言い合いをする俺。きっとこの状況を男子に見つかったらまず間違いなくしばかれるだろう。何故なら白石は才色兼備で、女子テニス部部長で、四天宝寺のバイブルと呼ばれているアイドルだから。
「はよ来んかな千歳。ああ、千歳はどんなパンツはいとるんやろ…あかん、ドキドキしてきた」
が、ただの変態や!
まごうことなき痴女や!
「つか女子なら着替えんときとか見れるやろ?何必死になってんねん」
「クラスちゃうし、女子テニス部やないからそんなチャンスないわ」
「お前、そんなマジに…」
「あ〜あ、どこのマネージャーになってしもうたんやろ、千歳はぁ」
ごっつい睨みに俺はビビってすぐに、すんません、と謝ってしまった。そんなに男子テニス部に千歳取られたのが悔しいのか…あ、すんません。
「白い」
「しっ来たで!」
白石は俺に後ろから手を回して抱き締めるように口を塞ぐ。良い匂いがしたけど、(千歳に比べて)貧相な胸にドキっとした気持ちも直ぐに落ち着いた。ふと見上げると楽しそうに階段まで歩いてくる千歳が目に入る。二人で同時にゴクリと喉がなった。カンカンと降りる音が耳につく。

「「…スパッツ」」

止めていた息を一気に吐いて脱力した。
「…おっぱいの貞操観念低い分、パンツの方にいったんか」
「そやな」
ガッカリしたというか、ほっとしたというか…ため息を溢すと俺と白石に影が掛かった。
「謙也くんと白石さん何やっとるんですか?」
「おー財前おはよーさん」
「おはよ財前くん」
財前は眉間に皺を寄せて俺と白石の顔を交互に見る。
「ああ、はー…お邪魔しました」
勝手に何かを理解して踵を返そうとした時、やっと俺達が誤解を与えかねない体制立ったことに気付いた。慌てて体を離すして俺は財前にしがみつく。
「ちょ!ちゃうねん!」
「良かったやないですか。初カノですか?」
「だから、ちゃうんやって!」
俺の必死な表情に財前は訝しげに首を傾げた。
「じゃああんなとこで何してたんですか」
ごもっとも。
「うっぐ…」
千歳のスカートの中見とりました。なんて言えん。

やましい事は白石とは一切無いが、自分の身のために一週間財前に昼飯を奢り続けたのだった。











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