もうずっときみに恋してる
「わいな、千歳のこといっちゃん好きやねん!」
「俺も好きたい」
「じゃあ」
「ばってん、金ちゃんの一番なんて、白石に怒られてしまいそうばいね」
「ちゃ、ちゃうで!白石とか謙也とかとは全然ちゃう!千歳は特別なんや!」
「金ちゃん、違くなかよ」
「なんでそんな言い方すんねん!なんで分かってくれんの?!」
「…」
「千歳ぇ」
「じゃあ約束すったい金ちゃん。もし五年たってもその気持ちのままなら、この話しの続きをするとね?」
「五年?」
「そうたい。よか?」
「おん!約束やで!」
「ん、やくそく、たい」
五年間はとても長かった。だけど千歳の顔を見てしまったら、なんて短かったんだろうと高ぶった気持ちに胸が震えてしまった。急に現れた自分に少し戸惑いながらもゆっくりと緩んでいく表情があの頃のままで、それがまた嬉しくて思わず泣きそうになった。
金太郎は上体を起こし、隣で眠っているふわふわの髪に触れる。すごくすごく幸せだった。ベッドの脇に置いておいた携帯に手を伸ばしてディスプレイに千歳の名前を表示させる。それを眺めながら愛しそうに携帯にキスをした。
「ん?きんたろ?」
ふわりと髪を揺らし、一糸纏わぬ姿の少女がまだ眠たそうな目を擦りながら、金太郎に身を寄せる。それを見て金太郎は優しく目を細めた。髪に触れると少女は気持ち良さそうに再び瞼をゆっくりと落とす。完全に眠りに落ちてしまった寝顔を見ながら金太郎は立ち上がった。携帯のディスプレイの表示を確認して通話ボタンを押す。ドキドキしながら待っていると4コールの後、電話が繋がった。
「もしもし千歳?」
『もしもし?』
「金太郎やけど」
金太郎は電話越しのくすぐったいほどの優しい声色に、声が上ずらないように頑張る。それが伝わったのか千歳は小さく笑った。
『知っとると。画面に金ちゃんの名前出とったばい』
せやな、と肩を竦めた。
『どうしたんね?』
「千歳と会いたい、思おて電話かけたんや」
『なら白石や謙也とかにも声かけて皆で会』
「いやや、二人がええねん」
『金ちゃん』
こんなことを言ったら千歳が困るのは十二分に分かっていた。でも、自分だってもう巧みな言葉に丸め込まれるような子供じゃない。それに今は絶対に引く時でもない。
「千歳、デートせえへん?」
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