大人になっても夢冒険

サークル:Mackerelsky
参加アーティスト:さば夫



とあるゲーム楽曲の同人アレンジアルバム。
このCDがそのゲームの音楽媒体として、唯一無二のアイテムかと思われる。
選ぶ理由の八割はゲームタイトルによるところなので、この頁には当方が元のゲームにいかほど思いを寄せていたかのポエムが記される。
なお、ネット上ではゲームとはあまり関係のない事情でおもしろがられているタイトルであるため、元ゲームのタイトルはここには記載しない。

このゲームのタイトルをただ知っているだけの人の大半は知らないだろうが、このゲームの曲はめちゃめちゃいい。
タイトル画面で聴こえてくる幻想的で美しいイメージ、オープニングに広がる静かな夜のテーマ、突然出てくる虚無僧のシーンのすっとんきょうな曲とそこにあるような気がしてならない沈黙のエコー、元気なフィールド曲のかわいく刻むテクノな音の執拗さなどなど、FC史に残って当然の神楽曲が揃っている。

wikipediaによるとこのゲームには独自の拡張音源システムが採用されているとのこと、他ゲームよりも豊かな音表現を目指して大切に作られた音楽が入っていたのだとわかる。
実際に実機で聴くと、ファミコンなのにまるでmidiのように広がりのある音が随所に使われており、本来のファミコンの音より俄然美しい。
初めてプレイした時からこの音楽が大好きで大好きで、ドラクエFFに心奪われた後も忘れることは叶わず、長らくサントラか何かしらの音楽集の登場を願い続けてきた。

ずっと聴きたい、たくさん聴きたい、音も好きだしゲームも大好き、純粋に愛していたタイトルが例の隠し要素の発覚で粉々にされたのは寝耳に水。
ひでむしへの恨みは特にないが、このタイトルの関連商品をどんなに望んだとしても、もう二度と得られることはないと知ったのはこの時である。
希望を捨てて元のゲームに時々ふれるだけの毎日を長らく過ごし、ある日突然この同人CDが出ているのを知った時の喜びといったら今でも言い表せない。
思考停止状態で通販の注文手続きを終わらせた。

いざこの円盤が届いた瞬間に湧いた喜び、この曲たちを今も強く愛している人がいてくれた喜び、ジャケットに描かれたキャラクター二人の笑顔に感じた嬉しさ……あらゆる感慨は計り知れない。
ある一点において曇りが生じていた私の心を、この円盤が救済した。
最高の一枚と手に入れたと思ったのを覚えているし、このゲームのことで満たされていない部分はもうなくなった、悔いはないと思えたのを覚えている。
大好きな音楽たちと一生一緒だ。

このゲームのために作られ、実装された楽曲はすべて…? ほぼほぼ収録されている。強いて言えばオープニングが入っていないのだが、これはゲーム中でもタイトル曲の静かなアレンジなので、アレンジアルバムとしてははしょられていても無理のないところ。

収録曲がサイコーなのは言わずもがな、アレンジもサイコー。
元の曲のテンションと異なるテイストで不思議な哀愁を感じさせる曲があれば、正統派アレンジでゲーム内のイメージ通りに仕上がった曲も良い。どの曲においても異なる風合いを取り入れることで曲の印象が似通らないよう工夫されている。
よってアルバム全体のバランスが良く、妥協がなく、捨て曲(捨てアレンジ)がない。

特に褒めたいのはまったくイメージを崩さぬ手堅いアレンジのフィールド曲と、最後の最後に有名テレビ番組劇伴曲のパロディを仕込んできたナゾザンスの曲。
あのゲームの世界と空気が音楽によって限りなくふくらんでおり、聞くたびに大好きだったあの世界に帰ることができた。
きっとこのゲームのタイトルをただ知っているだけの人にも大切にしてもらえる一枚……のはずだ。


ページ作成日 2020/02/09

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