初めて見る君




「ごうえんじ〜っ」


円堂は酒には割りと強い方だったはずだ。
だが今日に限って異様に酔うのが速い。

すでに喋り方も舌たらずになっていて周りの目を気にせずくっついて来る。
今日周りに居るのはかつての仲間イナズマジャパンの面々なのでとくに気にしないが違った場合は即座に蹴っていたと思う。

大体知り合いだからこそ嫌なところもある、それは


「うわー円堂くん甘えたさんだねー」

「うふふ、円堂くんこっちにおいで〜」

「こらヒロト!2人の邪魔しちゃ駄目だろ〜」

「吹雪もだぞ!久しぶりなんだから邪魔してやるなよ〜」


上から吹雪、基山、緑川、風丸。
全員目が据わっているし顔が真っ赤、明らかに酔っている。
あの鬼道ですら不動に膝枕してやっていたりするから酒の力は偉大だと本当に思う…。

そんなことを思っている時服の袖付近が引っ張られた感じがしたので見ようとした時
肩に重みがかかり目に入ったのはバンダナのオレンジ。


「円堂?」


先ほどは酔っていたからか、何時もより更に大きな声を出していたのだが
今は大人しく手には酒を持ってはいるが静かにオレの服の袖で遊んでいるだけ
不振に思いその顔を覗き込めば、ふっと唇に柔らかい感触。

何があったかわからず数回瞬きをしているとしてやったり顔で円堂が笑っていた。


「えん…」

「折角みんな久しぶりで気持ちよく酔ってんだからさ、豪炎寺も楽しんで良いんだぞ?」

「…お前まさか最初からっ!!」


今の会話中に落ち着いた頭でわかったのはキスされたこと、
そして円堂は酒に酔ったフリをしていただけだったという事で
それがわかると段々恥ずかしくなってきた。

今まで円堂の行動を嘘か嘘じゃないかを見分けるのなんて簡単だった筈なのに
フィフスセクターで聖帝として働いていた間に円堂に何があったというのだ…
いつのまにこんなに人を騙す事が…


「豪炎寺ー?」

「なんだ…」

「オレだっていつまでも子供じゃねーぞ?」


そしてこいつはまたオレが見たことのない真剣な顔でキスをした。


「見られてたらどうするんだっ」

「大丈夫だよ酔っててみんな気付いてない、酔ってない鬼道以外」

「!?」

(それともオレが鈍感…?)



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夜圭様のサイトで2300hitをゲットし、恐れ多くもリクエストさせて頂きました。そしたらこんな素敵な円豪が…!stkしてて良かった(え?)

酔ってるフリな円堂さん、大人!そしてチラリと垣間見えた不鬼にニヤニヤしました。鬼道さんの膝枕、可愛い……。

素敵なお話本当に嬉しいです、ありがとうございましたー!



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