ふわふわ



ふわふわと、けしてそんな音は聴こえてくる事はないのだが
それはふわふわと飛んでいた。

どこから飛んで来ているのか気になり
飛んできている方向へとゆっくりと歩いていく。

それはサッカー部の部室からで
開け放たれた扉から中を覗き込むと円堂が1人でストローに息を吹き込み
それを膨らましていた。


「一応室内で何をやっているんだ」

「あ、鬼道!」

声をかければストローから口を離しこちらを向いた。
部室内は外で見たよりも多くのそれがふわふわと飛んでいた。
ひとつそれに触れればパチンと弾けて割れてしまった。


「シャボン玉!うちにあったから持ってきたんだ!」

「…これは外でやるものだろう?」

「うーん…そうだけどまあいいだろ!」


ニカッという音が聞こえそうな笑顔を見せるとまたストローに息を吹き込み始める円堂の隣りに座る。
それはゆっくりと確実に大きく膨らんでいき、円堂が口を外すとストローから離れ
開け放たれた扉から外へと飛んでいった。


「鬼道もやるか?」


ぼぉっとシャボン玉の行方を見ていた俺に突如円堂が声をかけてきた。
差し出されたそれを受け取り少し躊躇いながら液体にストローをつけ
口に咥え息を吹き込む。
円堂が先ほど作ったように大きな物ではないが小さな無数のシャボン玉が室内や外へと飛ぶ。


「…子供に戻った気分だな…」


クスリと思わず笑みを零せば


「まだ子供だろー?」


とそう笑いながら部室の外へと出て行く円堂についていく。

再び容器とストローを返すとそれを受け取った円堂は
またたくさんのシャボン玉を飛ばし始めた。

光に反射し、様々な色をしているそれはまるでこのチームのようだと思った。
様々な大きさ、色、飛び方。
個性の強い雷門11を象徴するようで…

すると円堂がまた新たにシャボン玉を膨らまし始めた。
だが先ほどのように飛ばすのではなく1つ膨らましてそれを器用にストローから離すことなく
もう1つ膨らまし2つを繋げた状態で飛ばす。


「へへっ俺と鬼道!」


悪戯が成功した子供のように笑いかけてくる円堂。
その笑顔と言われた台詞の意味を考えると顔が熱くなるのがわかり思わず顔を伏せた。

するとそんな俺の行動を見抜いていたように円堂が下から覗き込んできた。


「あははっ鬼道大好きだぜ!!!!」


耳まで熱くなっていくのがわかりそれを誤魔化すために
円堂に抱きつく。


「……ぅ…」

「ん?」

「あんな…いつか…消えてしまうような物ではないだろう…俺達は…」


抱きついているので顔は見えないがきっと恥ずかしいのであろう、
円堂の鼓動が速くなっているのと、俺が抱きついた事により少し零れたシャボン玉の液を見つめながら
俺達の仲はシャボン玉のように消えたりしない事を願った。


【ふわふわ】


END

夜圭様より相互記念の円鬼のお話を頂きましたー!!

なんてかわいい!初々しい…っ!
シャボン玉する2人、可愛いです。円堂さんの無邪気さが、ずるい(笑)
大好き、大好き!

夜圭様、こんな素敵なお話を本当にありがとうございます。相互させて頂けて幸せです!どうぞこれからもよろしくお願い致します!!



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