かなし
もう二度と…の続きです。未読の方はそちらからどうぞ。
何も――こんな関係を望んでたワケやない。
「あぁ……っ、あン……っ!」
本来なら部室は、ユニフォームに着替えたり、給水したり、部員と談笑したりする場所で。それやのに用途以外の行為が、異様な行為がそこで繰り広げられてた。
俺はそれが『おかしい』と思うだけまだマシな気ぃする。まだ、理性を保ってられると思た。
部室のろくに掃除もされてへん、埃っぽい床に白いシーツを広げ、その上に四つん這いになる白い体。つま先が動き、ピンと伸ばされたシーツに皺を作る。足がシーツを引っかく度に、皺はどんどん広がる。
つま先が動くと同時にその体が揺れ、色っぽい声が口から漏れた。その声に混じって、いびつな電子音も響く。
白石は――今日も行為に耽ってた。
人目を気にすることもなく、淫靡な声を上げ続ける。
そんで俺はそんな白石に寄り添い、
「あっ、謙也ぁ……っ、もっと強してぇっ」
白石に求められるまま、その行為の手伝いをしとった。
白石のナカにはバイブが埋まっとる。
そのバイブのコードは白石の尻穴から垂れてて、俺の手の中にあるリモコンと繋がってた。
俺は白石の言う通りにリモコンを操作し、振動の強さを上げる。
途端に跳ね上がる白石の体。
「あぁんっ、あぁっ!」
とてつもない刺激に膝がガクガク震え、立ってられんようになった白石はシーツの上に崩れ、腹を地につける。背中をのけ反らせ、今まで以上の声で喘ぎ出した。
響く振動音も激しさを増す。
「あっ、アっ、ひやぁぁっ!」
口は開けっ放しで、閉じる余裕もないみたいや。呑み込むことすら出来ひんみたいで、口の端から唾液が垂れ始める。
「あっ、ひやぁっ、あっ!」
白石は本能のまま、行動してた。
普段『聖書』や『パーフェクト』やなんや言われてるけど、これが白石の真の姿なんやろう。
普通やったら幻滅してしまいそうなモンやけど、俺はそんな白石を愛しいと感じた。
どんな白石でも受け入れる自信があった。せやからこんな手伝いも出来る。
「白石……気持ちえぇ?」
俺の問い掛けに、コクコクと白石は何度も頷く。
そうかと、俺の口から無意識に出た言葉。白石が気持ちえぇならよかったと、俺は心の中で続けた。
バイブの激しい振動に合わせて、痙攣を起こしたみたいに白石の体は震える。
「あぁ……っ! ひやぁぁ……」
声にもその震えが感じられた。
白石はもっと強い、刺激を欲しがっとる。
力の入らん体を動かして、快感を貪ろうと腰を振り自身をシーツに押し付ける。必死に自身を高めようとしとった。
俺はその手助けになるんならと、手を伸ばし、
「あぁ……っ」
白石のモンをそっと握った。
白石のンは硬うて、今にもイくんやないかってぐらいビクビク跳ねとる。そこだけ、別の生きモノみたいに蠢いてた。
熱い。
モノに宿る熱の量も半端なかった。
俺が握っただけやのに、白石は色っぽい声を上げ、恍惚とした笑みを浮かべとる。
「謙也ぁ……もっとぉ……」
白石は自分から俺の手に自身を擦りつけてきて、媚びるように俺の顔を見た。
無意識なんやとは思うけど、その潤んだ瞳は俺の心を煽るのには十分で、溢れてきた大量の唾を呑み込む。
白石がそう望むんならと、俺は握る手に力を込めた。
「あぁ……っ、謙、也ぁ……っ!」
白石の先走りが俺の指に絡まり、擦る度にくちゅくちゅと卑猥な水音を立てる。
熟れた亀頭部分を重点的に攻め、親指で揉み込むように弄ってやれば、白石は悲鳴にも似た声を上げ身もだえた。
「あぁっ、あぁっ、あっ」
快感に耐えるかのように白石は首を振り、身体をばたつかせる。もっと白石に気持ちようなって欲しいて、先端を揉み込むだけやなく、俺はモノを上下に扱いてやったりした。
「あっ、謙也っ、謙也ぁっ」
「……っ!」
俺が直接犯してるワケやないのに、そんな風に名前を連呼されたら、おかしな感覚に陥ってまう。
俺は自分を抑えるのに必死で、気を紛らす為……というか、白石にもっと気持ちようなって欲しくて、空いてる方の手で白石のナカに埋まるバイブを動かした。
振動がバイブを通じて俺に伝わる。
手が痺れるぐらいの強さに、こんなんが白石のナカに収まってんのかと、ある意味で、関心のようなモノを覚えた。
ナカにはどうやら、白石にとってのいいところがあるらしく、そこにバイブが当たると、
「ひやぁぁぁっ!」
白石は嬌声をあげ、悦ぶ。
「あっ、そこっ、けん、やぁっ、そこっ!」
そこへの刺激を一度味わうと、白石はこんな要求してくることが多かった。バイブの先、をそこへ押し付けるように腰を振りはじめる。
俺はさっきバイブがあった場所に移動させて、ここ? と聞いてみたら、白石は首を振って、震える声でもうちょっと左と答えた。
白石の指示通り、バイブをもう少し左に動かしたら、白石は背中を海老のように反らす。
ここなんやなとだいたいの位置を理解した俺は、重点的にそこを攻めた。
「あっ、あっ、あっ」
断続的に上がる声。
「あっ、アカンっ、もっ、あァっ!」
しばらくしたら白石が限界を訴え始める。
それもその筈。白石のモノから溢れる蜜の量は増し、今にもイってまいそうなぐらい、張り詰めてた。
俺はわざと意地悪く聞く。
「イきたいん?」
そんなん、見たら分かることやのに。
白石の口から聞きたい思た。
「あっ、イくぅっ! イきたい……っ!」
願っていた言葉が白石の口から吐き出された瞬間、俺の心が満たされるような、そんな気がした。
俺は先端の敏感な部分に爪を立て、
「ひやあぁぁぁぁっっ!」
白石を絶頂に導いた。
勢いよく吐き出された白濁はシーツに濃い染みを作り、モノを握っていた俺の手の平にかかる。
俺は白石のナカで暴れるバイブを引き抜き、吐き出された精液を見つめた。
『白石の精液』。
ただそれだけの理由で、俺にはそれがとても魅惑的なモノに映った。
白石は今、イった衝撃でどこか分からんどこかを見つめとる。目は完全に虚ろで、頭の中もはっきりしとらんやろう。
目にしたとこで、白石は理解出来ひん。
――今なら、イケる。
その気持ちが、俺を付き動かした。
白石が見てへんのをえぇことに、俺は手に吐き出されたモンに、そっと舌を這わせた。
口の中に広がる白石の味。
ペロペロと精液を舐めとり、白石の味を愉しんだ。苦いとかまずいとかそんなん関係のうて、『白石のモン』やからっていう単純な心理が、俺に美味しいと感じさせた。
すべて舐めとりたいとこやけど、いつ白石が正気に戻るか分からへん。めっちゃもったいないんやけど、俺はポケットからティッシュを取り出し、手の平にかかった精液を綺麗に拭きとった。
「……ぁ」
白石が虚ろながらも、こちらに視線を向ける。ぴたっと目が合って、白石は覚醒したみたいやった。
「白石、大丈夫か?」
体を起こしてやろうと手を伸ばしたけど、白石は俺の手をとることなく、自力で起き上がる。俺は気付かれんように手を素早く引っ込めて、大丈夫か? と白石にもう一度聞いてみた。白石は浅かったけどコクリと頷いて、ありがとうと小さく口にする。
俺は笑顔でどういたしましてと返したけど、内心こう思た。
――感謝されるようなこと、俺はなんもしてへん。
「あ……片付けなな」
白石は部室を見渡して、口にする。
ゆったりとした動作で立ち上がり、その姿を俺の前に堂々と晒した。
白石の体は――綺麗やった。
まるで芸術品のように、完成されている。ちなみに白石が裸な理由は、服が汚れたら困るからや。
上から下までじっくり舐め回すように見てたら、また白石と視線が合って。俺は慌てて逸らし、真っ白なシーツに目を向けた。
白石がガソゴソと動く気配がする。
俺も、ボーッとしとる場合やない。
「ほい白石、タオル」
これを探してるみたいやったから、俺は椅子の背もたれんトコに掛かってたタオルを、白石に投げてよこした。
さっきまでのエロい雰囲気が嘘みたいに消し飛ぶ。白石の目は真っ赤に充血してて夢やないってことは分かるけど、そこにおる白石はみんなが知っとる『白石蔵ノ介』やった。
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