調べました2
その日の夜。
眠たい目を擦りながら英語の翻訳の宿題してたら、机の上に置いてた携帯のバイブが震えた。
振動にびっくりして眠気が吹っ飛び、慌てて携帯を手にとり画面を開く。
新着メールが一件。
ボタンを弄って中身を確認すれば、差出人は――白石やった。
絶対プレゼントの件やろう……。大袈裟かもしれんけど、緊張の一瞬。
添付ファイルがついてたけど、たいして気に留めずゴクリと息を呑み、俺は文面に目を通す。
『プレゼントありがとう。コレ、結構高かったんちゃう? 謙也にしてはセンスようて、ビックリしたわ』
謙也にしては、て部分が気になるトコやけど、とりあえずは気にいってもらえたんやろか……?
俺はメールの続きを読む。
『…なぁ、コレをくれたってことは俺に穿いて欲しいってことやんなぁ? この解釈、あっとる……? ちゅーワケで、早速穿いてみました』
そのまま何気なくスクロールさせてったら、とんでもないモンが添付してあった。
添付は、画像ファイル。
画面ちょっとズレとるし、多分携帯で撮ったヤツやと思うけど、それにしたってこれは……。
口元を押さえ、俺は画面に釘付けになった。心臓が勝手にバクバク音を立てとる。
そこには――パンツ一枚になって悩ましげなポーズをとる、白石の姿があった。
ふざけてやと思うけど、ベットの上で所謂世間で言うセクシーポーズな感じで、画面に写っとる。どこのモデルやねん、ノリノリやないか。それがまた様になっとるから、何も言うことがない。
しかも身につけとるパンツは……俺がプレゼントとしてやったモンやった。せやから送ってきたんやと思うけど、流石にこれは。
あの時、俺は友香里ちゃんに……
『パンツをあげたらえぇんちゃう?』
て、言われたんや。
最初はキョトンとしたけど、そういえば白石のヤツ……パンツ一丁で寝てたなと。本人は健康云々を気にしてやっとるみたいやけど、パンツをあげても困らんのではと思い始めたんや。それにいつも身につけてもらえる代物やし、消しゴムみたいに飾れるようなモンでもないやろ。
そないな理由から、俺は白石へのプレゼントをパンツにすると決めた。我ながら変態な気ぃしたけど、俺が変態やってことは白石は知っとることやし、白石やって今思ってみれば変態やったな、うん。
俺が危惧してた『謙也のえっち、どアホ!』みたいな展開は訪れることはなかった。それはそれで、もしかしたら悲しいことなんやろか。
白石に似合うかなと、白石が穿いてるとこを想像して買うたパンツ。
全部で五枚プレゼントした。
実際穿いてもらう為に買うたパンツが二枚。別に何の偏屈もない、ボクサーパンツや。色素の薄い白石に合いそうな、色とデザインで選んでみた。
いずれも添付画像を見る限り、よう似合っとる。よかったんではないかと思えるような感じやった。
そんで残り三枚の内二枚は、Tバックにした。白石は体にびっちりフィットなビキニパンツを普通に穿くようなヤツや。せやから極端に面積の狭いTバックでもなんら問題ないと思えた。
いや……それ以前に、俺が見たかったてのが一番なんやけどな。白石の誕生日やのに私欲をぶつけて、俺は自分が美味しい思いしようとしとる。やってヤる時に見えるし、俺が脱がせるワケやし。
そのTバックを穿いた画像もしっかり添付されてて、めちゃくちゃえぇ感じに馴染んでた。要するに着こなしとる。この感じやと普通に穿いてきそうやな……それはそれで最高なんやけど。
画像が小さくてはっきりとは見えへんけど、白石の股間はギリギリ布の中に収まっっとる感じやろう。
二枚とも、わざと股を開くようなポーズをとってて、白石が相当な変態であることをうかがわせる。むしろ大歓迎やけど、明らかに俺を煽ることが目的やろう。
――事実、俺は煽られてた。
柑橘類を見たワケでもないのに、溢れてきた唾液をゴクリと呑み込む。
これだけでも色々アウトやのに、最後にとんでもない爆弾を与えてきた。
添付されてた画像ファイルは全部で5枚。
その5枚目を目にした瞬間、思わず俺は携帯を落としてしもた。
確かに俺がやったモンやけど、白石が穿いたんを実際見てみると、その破壊力は凄まじかった。
最後の一枚は。
ラスト一枚俺があげたパンツは、もはやネタとしか言いようがない――紐パンやった。
そもそもパンツを買うた店がかなりマニアックな店やったからかもしれんけど、男性用の紐パンがあることにはかなり驚いた。
なんや、こんなんあんのか……て眺めるだけのつもりやったのにいつの間にか俺は手にとってて。そのままレジに並んでた。
紐パンを白石に穿かせて、結んだリボンをシュルルと解く……一回やってみたかったんや。もう白石の誕生日いうよりは、俺の願望を、白石に叶えてもらいたいみたいな感じになってた。
まさか、これまで穿いてくれると思てなかっただけに、俺が受けた衝撃は高かった。
今までのんもやばかったけど、これが一番やばい……。
手から滑り落ちた携帯を手にとり、食いつくように見てると、タイミングを見計らったかのように白石からメールがきた。
俺はすぐさまメールを開く。
『謙也、見てくれた? 俺的に似合ってたと思うんやけど』
全く、その通りでございます。
白石に見えてるワケでもないのに、俺はコクコク頷いた。
『そんでな。明日……これ穿いていこう思うねん。せやから謙也、明日うちこおへん? 今日は出来ひんかったから……』
……アカン。
こんなん、アカンやろ。
絶対にアカン。
俺は宿題をすることなんかすっかり忘れて、興奮状態のまま白石にこう返信した。
『行く! 白石行くで!』
翌日、俺はめっちゃ楽しませてもらった。
白石自身も楽しんでたみたいやけど……そりゃあもう最高やった。
何はともあれ、友香里ちゃんに大感謝やな。
end?
こんな支離滅裂な作品にお付き合いいただきありがとうございました。
自分で書いてる内にワケが分からなくなり、お蔵入りさせてもよかったのですが……せっかく完成したのだからということでうpしました。普通にあげるのには忍びない作品なのでごみ箱いきです。
白石の誕生日は盛大に祝いたかったのですが、まさかこんなことになるとは……(・_・;)体調崩すとかマジないです……。ちょっとどころかかなり悔しいです。