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その時、白石が恥ずかしそうにやったけど、ふわりと微笑んだのを俺は見逃さんかった。
あまりに白石が可愛いモンやから、調子に乗ってしもて、俺は気絶するまで白石を犯し続けた。
ナカに注ぎ込んだ精液をきちんと掻き出したらなアカンのに、申し訳程度に処理をしただけで、俺は白石をソファーに寝かせてタオルケット掛けてやって。自分もパンツ一枚履いて、床に寝転んで寝てしもた。言い訳するんやったら、ヤりすぎてなんや疲れたんや……。
リビングは精液臭いまんま。家族と一緒に暮らしてた時は、何がなんでも片付けてたけど、二人で同棲しとるんやから周りに気ぃつかうことなんかあらへん。……白石は嫌がるやろうけど。
窓から差し込む光が、朝を知らせる。
目ぇ覚ました時、白石の寝顔が目に入って俺は思わずニヤけてしもた。
その寝顔をいつまでも見ときたいけど、そういう訳にはいかんから俺はのそのそと身体を起こして、部屋を片付け始める。
とりあえず匂いが気になるから、窓を開けて換気すんのを手始めとして。ゴソゴソと床を拭いたり、服を着たりした。
一通りの作業が終わった頃、
「ん……っ」
布擦れの音がして、白石がムクッと身体を起こした。
「あ……白石、おはよう」
……ヤバい。
白石の方から誘てきたけど、あれは酔ってた訳やし、それを知ってたのに俺はむちゃくちゃヤってしもた訳で、なんやろ……ヤバいんとちゃうかコレ。
「…………何コレ?」
白石は寝ぼけ眼やったけども、状況を把握したみたいで。寝起きやからやと思うけど、声もワントーン低い。……怒ってるからかも知れんけど。
「白石……とりあえず、ごめん」
言いたいこと、弁明したいことはいっぱいあるけど、とりあえず謝ることが先決やと思た、この場合。
白石は俺の顔をじっと見た後、ふぃと目を反らして、
「別に……」
そっけなくそう言うた。
てっきり罵倒を浴びせられ、殴られるぐらいのことをされると思てたのに、あまりにもあっさり過ぎる白石の反応に俺はポカンとした。
片付けていた手を止め、呆然と白石を見つめる。
白石がキョロキョロと周りを見渡して、俺の服……と呟いたのを聞き、俺はハッとさせられた。慌ててタンスから白石の下着と、家着と呼ばれる適当な服を引っ張り出して、白石に渡した。
白石はそれを何も言わんと受けとって、いそいそと服を着始める。
こんなん、おかしい。
怒られへんことに逆に違和感を感じた俺は、え? え? と頭にクエスチョンマークを浮かべながら白石に迫った。
「し、白石? お、怒ってへんの……?」
俺がそう聞いたら、白石はピタッて動きを止めて。なんでか、耳まで顔を真っ赤にして……は? 何この反応。
そんで白石はとんでもないことを言うてきた。
「やってアレ……本音やもん」
「…………え?」
数秒間の沈黙の後、白石の言うてることが理解出来んで、俺は間抜けな声を出した。
「酒……の力に頼ったんは確かにそうやけど、意識はちゃんと……あった」
「……えぇ?」
「せやからっ! 別にベロンベロンに酔うてたワケちゃう言うてんねんっ! だいたい、覚えとる……っ!」
恥ずかしさをごまかす為なんか、キッと目尻を吊り上げ、強い口調で白石はそう言う。
「謙也が……レポートばっかで俺に全然構ってくれへんから悪いねんっ!」
なんやコレ……。
なんなんコレ……。
にわかには信じ難い言葉の数々に、
「白石……まだ酔うてるん?」
思わず俺はそう聞いてしもて、白石はより目を吊り上げた。
「ちゃうわっ! ボケっ!」
白石の反応を見る限り、どうやらホンマらしい。
で、でも……
俺が知る白石蔵ノ介っちゅー男は、完璧や、ミスターパーフェクトやとか言われとるけど、実際はわがままで、強情で、意地っぱりな、かなり素直やない性格をしとる。
それが普段の白石なワケで。
こんなん……
「俺……全然素直やない上にわがままやから、さみしい、謙也構ってなんか死んでも言われへんからそれで……」
こないに可愛いこと言う白石は、酔うてる以外に考えられんくて。でも白石の滑舌はハッキリしてて、耳まで顔を真っ赤にしとる。
ちゅーか、自分の性格よう分かってんな。
「謙也が……悪いねん。謙也が……」
徐々に弱々しくなっていく白石の声。体に掛けといたったタオルケットを力強く握りしめとる。
そういえば最近、レポートレポート言うて白石にあんま構ってなかった気ぃする。白石が素直やない性格をしとるの分かってたのに、勝手に大丈夫やろとか決めつけてた。
白石の気持ちを分かってやれてなかった、俺が悪い。白石の言う通り、完全に俺が悪いな。
そんな白石が、
「白石……めっちゃかわえぇ……っ」
俺は愛しくてたまらんかった。
「ちょ、謙也……っ」
後ろから白石を抱きしめて、ほお擦りをする。
「ヤってる時の白石も最高に可愛かったけど、今の白石も最高にかわえぇっ」
白石、ホンマかわえぇっ!
さっきからかわいいこと白石が言いまくるモンやから、俺のテンションは最高潮やった。
「い、痛いって……」
「めっちゃかわえぇっ!」
かわえぇかわえぇを連呼しながら、俺は白石へのほお擦りを続ける。
痛いて言いながら白石は身じろいでたけど、その抵抗は薄いモンで、本気で嫌がってるとは思えんかった。
俺の気が済むまでかわえぇ連呼とほお擦りをしたら、俺は白石を解放してやった。
白石の体を俺の方に向けさせて、その瞳をじっと見つめながら俺は聞く。
「白石……ホンマ? 昨日の夜言うたこと……あれは本心からの言葉なん?」
アカン。嬉し過ぎて顔のにやけが止まらん。
「は、恥ずかしいやろが……」
「お願いっ。言うてや」
なぁお願いっ! て、もっぺん頼んだら、白石は俺の押しに負けたんか、瞳を潤ませながら口を開いた。
俺はゴクリと息を呑み、白石の言葉に全身を傾けた。
「好き……俺、謙也のことめっちゃ好き……謙也とヤんのも好き……」
言われた瞬間、俺は目の前にいるこの可愛い生き物を抱きしめたい衝動に駆られて、それを実行した。
俺は白石を今度は真正面からギューッて抱きしめながら、耳元で優しく囁く。
「俺も好き。大好きやで」
白石の体がピクンと反応して、
「せやったら……俺の相手ちゃんとしろや……っ」
俺の腕の中にすっぽりおさまる白石はいつも通りわがままで。俺はニヤニヤと、締まりのない顔をしながらしばらく白石を抱きしめとった。
――その数分後。
室内にはいつも通りの白石がやっぱりおって、俺はニヤニヤしながら白石のわがままを聞きまくった。
白石がさみしいって感じひんぐらい(むしろウザいぐらい)、俺は白石に構いまくった。
あぁもう、白石かわえぇっ!
せやけどそのせいで……
俺はレポートが出来んくて、提出日前日に徹夜したんは言うまでもない。
end.
苺様、大分脱線してしまったような気がしますが……こんなんでよろしいでしょうか?
『盛る』白石を書くつもりが、『ツンデレ』白石を書きたくなったのがそもそもの元凶です(^_^;)
フリリクありがとうございました!
何かありましたら、メール、拍手で受付ますのでよろしくお願いしますm(_ _)m