本音
※白石と謙也が成人済み。同居という名目で同棲をしている大学生パロです。
※この話の白石はかなりのツンデレです。





 ――ん……? アレ?

「けんやぁ……好きぃ……」

 なんで俺……

「ちょお、白石……っ」

 白石に押し倒されてんの?






 それは、遡ること一時間前。

「謙也ー」

 俺は今週中に提出しなあかんレポートをパソコンで作っとったら、白石がそう声を掛けてきて。俺はパソコンを弄る手を一端止めて、白石の方をちらっと見た。

 冷蔵庫前に立つ白石は、俺が今日買うてきたチューハイを手にしとって、

「これ飲んでもええ?」

 案の定そう聞いてきた。
 レポートに気ぃ取られとった俺は、さして目を留めることもなく、ええよと返事をしてからパソコンの画面に視線を戻す。

 ダイニングのテーブルで椅子に座ってノートパソコン弄っとる俺は、白石に背中を向ける形になってしもて。白石が何を口にしたんか、全く見えへん状況になってしもた。

 白石はテレビを見ながら、チューハイを飲んどるみたいやった。俺に気ぃつこて、テレビの音量は小さくしてくれとる。そういう白石の、さりげない気遣いが俺はかなり嬉しかったりする。思わずニヤけてしもた。

 カチカチと俺がキーボードが打つ音とテレビから漏れる音が、静かに部屋に響く。
 そんな平和な時間が、永遠に続くと思た。時間だけが、ただただ過ぎていく。

 俺のレポートも、いよいよ佳境に入った頃、

「けんやぁ……」

 後ろから白石の声がして。
 文章が打ちかけやった俺は、んー? とパソコンの画面を見ながら気のない言葉を返す。そしたら白石がもそもそと動く気配がして、ちょうどキリのええとこまで文章が打てたからなんやろと振り向いたその瞬間、

「……しらっ」

 ぶちゅーって音が鳴るくらい深いキスを、白石の方からしてきた。
 あまりのことにびっくりした俺は、白石にされるがままにされとったけど、何をされとんのか理解して、白石の肩を掴んで引き離した。

「白石っ、どないしてんっ」

 いっつもキリッとした顔をしとる白石が、今はしまりのないトロンとした顔をしとる。
 そんな顔した白石が、

「けんやぁ……好きぃ……」

 甘えたようにそう言うてきた。

 ――え……今、なんていうた?

 普段の白石からは想像もつかんような言葉に俺は面食らって、白石がグッと体重をかけてきたんに抵抗出来ひんかった。

「ちょ……っ」

 そのままバランスを崩した俺は、床に押し倒される。背中がちょっと痛い……やなくて!

「けんやぁ……好きぃ……」
「ちょお……白石……っ」

 どないしてん、白石っ!



 ――ちゅーワケで、話は冒頭に戻る。



「好きぃ……好きぃ……」

 俺的にはコレ、かなりおいしい状況やったりするんやけど、こないな白石明らかにおかしいっちゅーか、なんでなんか理由が分からんと俺も乗られへんっちゅーか……

「し、白石っ!」

 よう見たら白石は俺の上に馬乗りになっとって、う〜って唸りながらグイグイ顔を近付けてくる。
 白石の胸を押し返してる内に、俺の目にあるモンが飛び込んできた。

 ――白石が俺の確認をとって、飲んだチューハイ。

 たいして確かめんかった。
 レポートの方に気ぃ取られとった俺は、ロクに確かめんかった。ささっと、ちらっと目にしただけで、あっさり流した。

 でもそれは、アルコール濃度の高い、限りなく酒と呼べる代モンで……白石には、無理なモンやった。

 白石は……酒に弱い。
 濃度の低い、チューハイとかやったら全然大丈夫やけど、アルコールのきついヤツは全然あかんかった。すぐに酔うてまう。

 しかもそれを二本も飲んどった(いつの間に……)。

 だいたいは酔うて、おかしなこと(例えば黒歴史であるエクスタシーを連呼)を言いながら寝るっていうのが白石の行動パターンやねんけど、今回は全然ちゃうみたいやった。

「白石…っ、ど、どないしてんっ!」
「けんやぁ……シたい……」
「……はあ!?」

 白石の爆弾発言に、俺は目を剥いた。

 白石が……『シたい』やて?

 ゆ、夢や。
 白石がこないなこと言うなんか、ありえへん。

 俺が知る白石蔵ノ介っちゅー男は、完璧や、ミスターパーフェクトやとか言われとるけど、実際はわがままで、強情で、意地っ張りな、かなり素直やない性格をしとる。その癖快楽には人一倍弱うて。俺は白石の性格を逆手にとって、セックスん時はかなり意地悪をしたりした。
 それでやっと、気持ちえぇとか俺のことを好きやとか言うてくれるのが普段の白石で。
 こんな風に自分から俺のこと好きやとか、ヤりたいとか言うようなヤツやない。

「はあ……やないて……俺がシたいて言うてんねんからぁ……っ」

 呂律、回ってない。

 酔うてんのは間違いないやろうけど、こないな酔い方始めてや。

 ミスターパーフェクト、どこいってん。

「けんやはぁ……俺のこと、嫌いなん……?」

 こないなに可愛いげのある台詞、白石の口から出てくるなんか夢みたいや。
 いや、夢か……?
 ちゃうな、現実や。

 酔ってるからやと思うけど、白石は口をへの字に曲げ、目元をウルウルさせとる。

「俺はぁ……けんやのことめちゃくちゃ好きやのにぃ……っ」

 なんやねんこの白石……っ

 ――めちゃくちゃ、めちゃくちゃ、かわえぇやんか……っ!

「もうえぇもん……けんやが、その気やないんやったらぁ、俺がその気にさせたるもん……っ」

 『もん』とか、なんやねんっ!
 かわえぇ……っ
 白石は元々かわえぇけど、今の白石はいつもの百倍かわえぇ……っ!

 白石のあまりのかわいさに、俺がダメージ受けてると、白石がもそもそと動きを見せて、

「う〜……っ」

 変な声を出しながら、俺の股間を触ってきた。そのまま白石は、自分家やからて思いっきり手ぇ抜いてジャージ姿やった俺のズボンを下ろして、パンツも下ろして、そんで中から俺のモノを取り出して……て、えぇっ!?

「ちょちょちょちょ……っ、白石っ!」

 焦る、俺の声なんか完璧無視で、白石は……俺のモノを咥えた。
 生温かい、白石の咥内が俺のモノを包む。

「んむっ、んぅ……っ」

 俺のモノを、口いっぱいに含む白石。

 こないなこと……ホンマにありえへん。
 俺は白石のモンが好きやから(もちろん白石のやからや!)、進んでフェラしたりするけど、白石は恥ずかしい言うて滅多にしてくれへん。下のクチでは死ぬ程咥えさせてるだけに、俺もあんま強要出来ひん……しな。

 せやけど今、信じられんことが起こっとる。
 いやいや、さっきから信じられんことが起きまくりやけどな!

「しらいし……っ」

 動揺しとっても、焦っとっても何してても、俺のモンは脈打ちながらその硬度を増してく。尿道口に舌を差し入れてきたりとか、どこで覚えてんて感じやわ。

「へんやぁ……ひもちへぇ?」

 咥えながら、白石は聞いてくる。
 その際、白石の歯が俺のモンに触れてきて、かなりの刺激となって俺を襲った。

 気持ちええけど。
 確かに気持ちええけどっ!

 白石はそないにフェラしたことない癖に、俺の気持ちえぇとこを的確に攻めてくる。口に含まれへん分は、手コキで快感を与えてきて。白石のフェラはまさに隙がなかった。

 亀頭部を舌でレロレロされると、たまらん快感が背筋を走る。

 おまけに……時々上目遣いに俺の表情を窺ってくる白石の顔とか、白石の綺麗な口が赤黒い俺のモンを咥えてる様子とか、視覚的にも色々ヤバい。

 ええの……っ
 ええんかっ!?

 いや、アカンやろ!

「白石……っ、アカンって。出るから……離しっ!」

 いくら白石の方からしてきたって、酔うてる白石の口に出すのはかなり抵抗ある。せやから離して欲しいんやけど、白石は口に咥えたままで。

「へぇよ……おれんふちにだひて……」

 離すどころか、より深く咥え込んだ。

 無理矢理引き剥がそうと白石の頭を掴んだけど、ストローでジュース吸うみたいに口をすぼめてきて、その刺激に耐え切れんかった俺は、

「しら……っ、はぁ……っ」

 きっしょい声上げて、思いっきりイってしもた。

「んぅ……っ」

 絶対まずいやろうに……。
 でも目の前の白石は、音を立てて美味そうにそれを飲む。

「けんやぁ……気持ちよかったぁ?」

 酔うてる、からやろな……。

 白石は口の端から垂れた精液を拭おうともせず、笑顔でそう聞いてきよった。

 その笑顔の可愛さといったら……半端ない。

 もう……アカンやろ。

 元々、俺はイラチやねん。
 待ち時間とか、我慢すんのは嫌いやねん。
 せやから、
 せやから……

「……後でグダグダ言うても、知らんからな……っ」

 色々と、我慢の限界やった。

 俺はゴクリと息を呑むと、白石を押し倒した。






 
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