ごみ1


※『うしろを振り返れば』の別バージョンです。中途半端ですがよければどうぞ。ちぐなぐな気もしますが、一応3ページ目の続き、4ページ目にあたります。









「……だけど、」

 この苦しみが一生続くのかと、絶望感に打ち萎れとる俺に、ストーカーはそう言葉を付け足して、

「白石くんが……僕のモノを欲しいって言うなら……外してあげるよ……」

 そんなことを口にした。

 ……それがどういうことを意味するのか、こんな状態になっとっても分かる。

 でも……、
 それでも……っ

 この苦しみから逃れることが出来るなら、それはとてもステキな誘惑に聞こえた。

「……れて……っ」

 俺は、プライドなんかとっくの昔に捨てとったみたいで、

「アンタの……っ、ちんこが欲しい……っ! はよぅ挿れて……っ!」

 そんな卑猥なことを、自ら口にしてしまった。言わされとんのか、俺の意志なんか、もう訳が分からん。

 ストーカーは俺の言葉に興奮したんか、今まで以上に鼻息を荒くして、俺のナカからバイブを抜き取ると、

「ふあぁァぁぁッっ!」

 素早い手つきで、俺自身を開放した。

「あ……、アぁっ」

 塞ぎ止められていた熱は止まることを知らんで、俺は精液を吐き続ける。全身から力が抜け、ストーカーによってつかされた膝がガクガク震える。
 膝立ちしてられんで、ペタンとへたり込もうとしたところをグッと腰を掴まれて、バイブではない、熱い……ビクビクと震えるストーカー自身を宛がわれた。

「白石くんと、僕が……ついにひとつに……っ」

 うっとりしたしたようにストーカーは呟いて、腰を押し進めようとした――その時、

「白石っ!」

 幻聴……やろか?
 謙也が俺を呼ぶ声が聞こえて、バタバタと足音が響き室内が騒がしくなった。

「部長っ!」
「蔵リンっ!」

 謙也だけやない。
 みんなの声がする。

「なんなんだキミ達は……っ!?」

 うろたえるストーカーの声。

「おま……っ、白石に何してんねんっ!」

 後孔に押し宛てられとったストーカー自身の感触がなくなって、代わりに何かが落ちるみたいなドンって派手な音が聞こえた。シーツが引っ張られる。

「白石に……っ、白石によくもこんなこと……っ!」

 鼻声になった謙也の声と断続的な渇いた音と、

「ぐば……っ」

 ストーカーの……苦しむ声が聞こえた。

「君、止めなさいっ!」
「せやけどコイツが白石を……っ!」
「気持ちは分かるが君が殴っていいという道理はないだろうっ!?」

 ――これは……一体なんや?

「白石……辛かったなぁ……っ」

 俺を労るような……健二郎の優しい声。

「手枷の鍵、コレやろか?」
「多分そうっすわ」

 ユウジと財前のそんなやり取りが耳に入って、カチャカチャと手枷が音を立てる。
 足の方も同様に音がして……俺を拘束していたものが何故か外れた。

「白石はん……」

 辛そうに俺を呼ぶ銀の声がして、あったかい手が伸びてきて俯せやった体を起こされ、ベットの上に座らされる。

 そして、

「蔵リン、今外してあげるからね……」

 小春の声がして俺の視界を奪っていた布に手が掛けられた時、俺はこれが幻聴なんかやないってことを理解した。
 なんでみんながここにおるかなんてのは、こん時の俺にとってはたいした問題やなくて、

「く、蔵リン……?」

 小刻みに震える手で、布をとってくれようとした小春の腕を掴んでそれを制した。

「い、嫌や……」

 嫌やった。

「嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌や嫌やぁっ!」

 狂ったみたいに同じ言葉を並べて、俺は小春の手を離すと、首をブンブン振りながらベットに顔を埋める。

「見たない……っ!」

 ――見たくなかった。
 浅ましくも与えられる快感に酔いしれ、喜ぶみたいに声を上げ『汚れた』……自分の姿見たなかった。
 ストーカーに犯されかけたことよりも、俺にとってはそっちの方が衝撃でショックで、許されへんかった。
 起こってしもたことはもう仕方がない。事実として受け止めなアカン。
 せやけど、俺にはこの惨状を目にする勇気がなかった……っ

 それに、

「見やんとってっ! 俺をっ、見やんとってやぁァっ!!」

 俺を見るみんなの『目』が、怖かった。

 多分同情するような、かわいそうな目で俺を見とる。
 それはしゃあない。
 みんな、俺を心配してくれとった。
 それは分かる。
 分かるけど……

「嫌やぁっ、見やんとってぇっ!」

 俺にはそれを受け止められる余裕がない。みんなのことを考えてやれる余裕がまるでなかった。

 この薄汚れた姿を晒しとることが、もう既に堪えられんことやった。

「嫌やぁぁっ! 嫌や嫌や嫌やぁーっ!」

 俺は膝を折り曲げ背中を丸め、出来るだけ自分の体を小さくしてこの仕打ちに堪える。

 喚き散らし、誰も近付けんようにした。
 誰も……近付いて欲しなかった。
 誰も……俺に触れて欲しなかった。

 ただ、放っといて欲しいんや……っ!

 その内に意識が遠なっていくんを感じて……俺は気を失った。



end?





……という内容も考えました。
この後白石は精神錯乱状態になって引きこもりになり、一ヶ月後学校に現れるんですが……やっぱりどこかおかしくなってるんですね。それをみんなが(主に謙也が)救出する展開も考えたんですが、明らかに長いので二つに分けなきゃいけないし、なにより白石がかわいそ過ぎる!(私が虐めてるんですけど……)
白石がずっと目隠しされてるのは、実はこれが書きたかった……という裏事情ががあります。彼をヨがらせる為だけじゃないですよ(^-^;

これは『四天メンバーが救出』というリクエストに明らかに反してます。救出、全然出来てないです。暗い、しかもバットエンド……
だからやめました。

ちなみに私、白石の包帯話が書きたくて、白石の手首を強く傷つけてみました。その辺は、続編が書けたらその時に。


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