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俺の態度に満足したんか、ストーカーは行為を再開させて。
「白石くん、気持ちいい? 感じてくれてる?」
「……っ」
せめてもの抵抗で、ギリッて音がなるぐらい歯ぁ噛みしめ、漏れそうになる声を我慢する。
それが嬉しかったんか、ストーカーは不気味に笑った。
「声……我慢しなくていいよ。出して。白石くんの声、もっと聞きたい」
誰が……っ
て思とったけど、乳首に歯ぁ立てられたらそうも言うてられんで、
「あぁんっ」
女みたいに高い声出してしもた。
「ふあぁっ、ひ、ヤぁんっ」
一回出してしもたらもう抑えがきかんで、俺の口からは喘ぎ声が漏れ続ける。
口を塞ぎたくても、手が自由やあらへんからそうもいかへん。
こんな声……恥ずかしい。
女みたいに声上げて、浅ましいことこの上ない。
ストーカーは俺の反応に気をよくしたんか、もう片方の乳首も指で弄り出した。
「フフフ……白石くんの乳首、女の子みたいに固くなってる」
指の腹で捏ねくり回したり、弾いたり……感じたくないのに、ストーカーの言う通り俺のそこは固くなっとんのやろう。
それと同時に、
「あァっ!」
「ココも……感じてくれてるんだね」
下半身にも、熱が集まんのを感じた。
俺が感じるように、乳首にわざと息が吹きかかるようにしてストーカーはそう口にし、スラックス越しに硬度を持ち始める俺のモンをやんわりと触った。
「かわいいなぁ……」
「は、ぁ……っ」
下に適度な刺激を与えながら、乳首を攻め立てる。
「アぁっ、ひやぁ、……んァっ」
感じて、ムクムクと大きなっとる俺自身。
先端から先走りが零れ、パンツを濡らし押し上げとることやろう。張り付くパンツが気色悪い。
ちゅっと音立てて、散々弄っとった乳首からストーカーは口を離し、
「……キツいんでしょ白石くん、」
まさかと思たらそのまさかで、
「今……楽にしてあげるからね」
カチャカチャと金属音を響かせ、ストーカーは手早く俺のベルトを外し、腰を浮かせるとパンツごとスラックスを引き下げた。
「ぁ……っ」
自身が外気に触れ、体が嫌でも反応する。
「ココの色も綺麗だね……流石白石くんだ……」
ストーカーの狙いはコレだったのかと思うぐらい、見えないからこそ感じる。
俺のモノを見つめる、ストーカーの纏わり付くような視線を……。
足を閉じて隠したくても、それも敵わへん。
まさに俺はストーカーのされるがまま。どうにかしたくても、どうすることも出来ひん……っ。
悔しかったり、気持ち悪かったり、恐かったり……色んな感情が入り交じった涙が、俺の目からとうとう溢れた。
せやけど目隠しされとる布が吸い取って、頬に流れ落ちるようなことはなく。ストーカーに泣き顔を見られへん――それだけがせめてもの救いやった。
「食べちゃいたいぐらいだ……」
ストーカーがうっとりしたような声色でそう言った直後、生暖かい感触が俺のそこを包んだ。
「く、ぁっ」
じゅるっと卑猥な音を立てそれは吸い付く。
信じられへんって思たけど、多分間違いない……。
ストーカーは、俺のンを咥えとる……。
これほど恥ずかしくて屈辱的なことはあらへん。
「や、めろやっ! はぁっ、アっ、なせっ!」
喘ぎ交じりになりながら、俺は拒絶の言葉を並べた。
ストーカーが聞きいれてくれる訳なく、
「んぅ……はぁ……」
気持ち悪い声を出しながら、俺のモノを角度を変えて舐め続ける。
浅ましい……。
こんな変態に舐められて、感じとる俺こそが真の変態や。
その内限界がきて、我慢したけど我慢出来んくて、
「嫌やぁ……っ、はぁっ、……あぁアぁァァっッ!」
激しい声上げて、俺はストーカーの咥内でイってしもた。
もう嫌や……っ
消えてまいたい……っ
はぁはぁと荒い息を吐きながら、俺はイってしまったことについて考えずにはいられへんかった。体が熱い。
ストーカーは完全に喜んどる。
ゴクリと喉が鳴る音聞こえて、あぁ呑んだんやなぁ……て、ぼんやり思た。
「おいしいなぁ……」
最後の一滴まで搾りとるように吸い付いた後、ストーカーは満足気に口にした。
恥ずかしい。恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい……っ!
そう思とったらチャックを下ろす音が聞こえて、
「僕も限界だよ……」
体に生暖かい何かが掛けられた。
途端に青臭い匂いが広がって、それはストーカーの精液やってことは容易に想像できた。その証拠にストーカーは気持ち悪い声出して余韻に浸っとる。
――抵抗したら殺される。
そればっかが俺を支配して、どうすることも出来ひん。
殺されん為にはこの仕打ちに堪えなアカン。堪えな……アカンのや。
「優しくしてあげたいんだけど……白石くん。さっき僕の舌噛んだり、僕のこと蹴ったりしたよね……? だからね、お仕置きが必要だと思うんだ……」
お仕置き……?
これ以上何する気やねんて身構えたら、体を俯せにされて、尻を突き出すような姿勢をとらされた。
ごっつい恥ずかしゅうて、屈辱的な格好や。鎖に長さがあんのはこの為やったんかと気付かされた。
ストーカーは楽しそうに鼻歌しながら何かガサゴソやっとって、その音が鳴り止んだら、俺の後孔に……固い、無機質な何かが押し当てられた。表面に何か塗られてんのかヌルッとしとって、考えるより先に、
「ア゛ァあぁァッっ!」
切れたんやかいかってぐらいの痛みを伴って、それがナカに入ってきた。
ストーカーは強引にそれを押し進めてき、痛みのあまりに目がチカチカして気ぃ失いそうやった。
いや……失ってた方がラクやったかもしれん。
「ぁ゛アあっ! あ゛ぁァ゛ッ!」
俺の口からは痛みを訴える声しか出てこんくて、もはや言葉を成してへん。
「僕に逆らっちゃ、いけないんだよ……」
ストーカーがなんか言うてるけど、俺の耳には入ってこんかった。
内壁をブチブチ引き裂くように入ってきたそれは、長さがあるんかなかなか終わらんで、激痛は続いた。
流れる汗の量が半端ない。
「もうちょっと……後少しだからね……」
少し上擦ったようなストーカーの声。
俺の痴態を見て興奮してるのか、この男は。
俺はただ、ただ、歯を噛み締め、この激痛が早く終わってくれることだけを願った。
「――あは、素敵だよ白石くん……」
……実際はたった数分の出来事やったんかもしれんけど、その痛みが走り続ける時間は俺にとって途方もないもんやった。
キュッて穴を締めたら、明らかな異物の存在を確認出来る。それに穴の周りも、ナカも、ジンジンして……ごっつい痛い。
「それじゃあいくよ……」
休まる時間も与えられんまま、ナカに埋め込まれたそれが、
「……ぁっ!」
低い音を立てながら、ブルブルと震え出した。
これは……バイブだ。間違いあらへん。
振動が苦しくて、気持ち悪くて、俺はもう色々と限界だった。涙も枯れて、もう出てこおへん。出した声も、枯れとった。
せやけど、
「多分この辺だと思うんだけどな……」
ストーカーがバイブの位置をずらした瞬間、
「ひやぁぁっ!」
激痛が、快感にすり変わった。
今までの痛みがあっちゅー間に吹き飛んで、気持ちいいの一言やった。
萎えていた俺自身は再び硬度を持ち始める。
「……みーっつけた」
ストーカーの声を遠くに聞きながら、俺は快感に身を落とした。気持ちよくって仕方がない。気が狂いそうなぐらいの、強い刺激やった。
「ハぁんっ、ひやぁっ、いやぁんっ!」
俺のモノはムクムクと大きくなり、限界はすぐに訪れ、再び精液を吐き出した。熱が収まることを知らんで、蠢く振動が俺を再び高めてく。
短時間で二回もイかされて体はだるい。せやけど気持ちえぇ……っ
ものの数秒で、またイきそうになった時、
「ダメだよ白石くん、勝手にイっちゃ……」
「い゛……っ」
根本をギュッと握られ、俺は……イけなくなった。開放される筈の熱を防ぎ止められて、鈍い痛みが俺を襲う。
「コレはお仕置きなんだからさ……」
「あぁ……ふぁ……」
苦しい……苦しい苦しい苦しいっ!
パンパンに膨らんだ俺の根本に紐みたいなモンが巻かれ、イくにイけんようになってしもた。
「アあぁ…ぁぁ……っ」
苦しくて、苦しくて……さっきまで気持ちよかったんが、ホンマ嘘みたいや。
それでも容赦なくバイブは俺んナカを動き回って……堪らんかった。
どんどん大きなって、紐がモノに食い込んどんのか痛みが酷なる。
イきたいのにイけない。
これほど、辛いことはなかった。
じたばた体動かしてこの苦しみを紛らわせようとするけど、カチャカチャ鎖がなるだけで全然効果あらへん。
なんとかして欲しい……っ
この熱を吐き出したい……っ
よだれが俺の口から絶え間なく流れ出、シーツを濡らす。顔を埋めたそこは俺のよだれやら涙やら汗やらで、グチョグチョで。
「いやぁ……もういやぁ……っ!」
本当に自分のものなのかと疑ってしまうぐらい、その声は弱々しかった。
「――白石くん、イきたい?」
そんなん当たり前やろ……っ!
俺はストーカーの言葉に素直に頷く。
……どうでもよかった。
この苦しみから逃れることが出来るなら、なんでも出来る気がした。……例えそれがストーカーの言葉やとしても。
「じゃあ僕に、ごめんなさいは?」
そんなことで外してもらえるならと、簡単に口に出来た。
「ごめ、んなさ……い……ひうっ」
「いい子だね、白石くん」
頭を撫でただけで、ストーカーは根本の紐を外してくれへん。
せっかく謝ったのになんでて思っとったら、
「でもね、僕の気はそんなことじゃ収まらないんだ。……分かるでしょう?」
絶望的な一言を突き付けられた。
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