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「し、白石…っ、ホンマどないしてんっ!」
声を上げる謙也は完璧無視で、俺は辿り着いた唇を、
「……っ!」
ペロッて舐めた。
その瞬間、謙也のスイッチが入ってしもたらしい。
俺の後頭部に手を回して顔を引き寄せ、しっかり唇を重ねたら謙也は舌を入れてきた。
「んふぅ…っ、ふ……」
歯列をなぞり、咥内を隈なく動き回る謙也の舌。それが気持ちようて……呼吸するのも忘れて俺は夢中で謙也と舌を絡め合う。
「んん……ッっ、ん……!」
せやけど息は無限に続かんから。俺が苦しそうに声漏らしたら、唾液の糸引いて謙也の口は離れてった。
謙也も謙也で苦しかったみたいや。
俺達は酸素を求めて荒い呼吸を繰り返す。
アカン……今ので勃ってもた。
「なぁ謙也……シよ?」
それが落ち着いた頃、我慢出来んで俺が言うたら、謙也は驚いたように目ぇ剥いた。
「し、シてもええけど……ホンマ白石どないしたん?」
……そんなん、言えるワケない。
飼い猫に嫉妬したなんか……恥ずかしゅうて言えるワケない。
「そんなんええからぁ……っ」
言いたくなくて、焦れたように謙也のベルトを外し、ズボンに手を掛けたら、
「……白石、先に教えて」
顔を手で挟まれてしもた。
がっちり挟まれとるんか顔が動かされへん。せめて逸らせんのは目だけやけど、謙也の視線を痛い程感じてそれが出来ひん。
謙也に真っ直ぐ見つめられて、俺はもう……
「謙也が……」
言うしかなくなった。
「謙也がエクスタちゃんに構うから……」
正確にはエクスタちゃんに、構ってあげてた感がするんやけど、そんなん俺には関係ない。
「……え?」
「謙也が……エクスタちゃんとベタベタするから悪いねんっ!」
手は自由やから、謙也を突き飛ばすように押し倒して。俺は謙也の上に馬乗りになった。
「な……なんなんそれ」
顔は真っ赤で、息切らしとる俺を謙也はポカンと見つめて。
「え、ヤバイ……」
俺と同じように顔を赤くして、謙也は口元を押さえた。
「それってつまり、嫉妬してくれたって……」
「そうやっ! 悪いかっ!」
誰が考えても分かりそうなこと聞かれて、俺は余計恥ずかしなった。
謙也はこんな俺に呆れるかなとか、ある意味ドキドキしながら次の言葉待っとったら、
「アカン白石……めっちゃ嬉しい」
謙也の口から出てきたんは予想外の言葉やった。
だって、普通嫉妬とか嫌ちゃうん?
欝陶しいし、めんどくさいやん。
それやのに、なんで『嬉しい』?
「なんで……嬉しいん?」
「なんでて、そりゃ好きな子に妬かれたら誰でも嬉しいわ」
事もなげに謙也は言うて、ヘラリと笑って見せた。
「で……でも猫相手にやで! ウザないん?」
「白石のかわええよしべえちゃんに妬いてまう程、俺のこと好きってことやろ?
「……」
反論出来ひんのが悔しい……。
――そうや。俺は謙也が好きで好きで堪らへん。飼い猫のエクスタちゃんに妬いてまう程、俺は謙也にべた惚れや。
悔しいて唇噛み締めとったら、謙也の手が俺の顔に触れて、
「……白石から誘たんやから、今日は白石がリードしてや?」
優しく撫でられたら、俺は頷くしかなかった。
「んはぁ……んぅ……っ」
「もうええよ白石……」
謙也の手が伸びてきて、俺はそれまでしゃぶりついとった謙也のモンから口離した。
謙也のモンは完全に勃起しとって、俺の唾液と先端から零れ出た先走りに濡れてテカテカ光っとっる。それがめっちゃエロうて……またしゃぶりつきたい気分になったけど、俺はグッと堪えた。
――俺がリードしろ言うんはホンマやったみたいで、謙也は何もしてくれへんかった。
せやから俺は、謙也のモノをしゃぶって口に入り切らん分を片手で扱きながら、もう片方の手で自分の扱いて。イった時に出た精液使うて自分の後孔解した。
「白石、挿れて? 出来るよな?」
そう言うて謙也は体を倒して、ベットの上に寝転ぶ。流石に床でヤるんは辛いから、あの後俺のベットに移動した。
俺がコクンて頷いたら謙也は満足そうに笑うて。その笑顔に俺はゾクリとくる。
俺は謙也の腰辺りを挟むように膝をつき、尻たぶを手で開いて入口を捜す。謙也のンを求めてヒクついとるそこは、すぐに見つかった。
腰を動かし、謙也の先端を後孔に押し宛てて、
「ふぁ…っ」
俺はゆっくり腰を落とす。
しっかり解れた後孔は先端部分をあっさり呑み込み、さらに深い部分を求め内璧が蠢いていた。
「んんっ」
「めっちゃエロいで白石……」
シーツの上を這っていた謙也の手が伸び、俺の腰をやらしく撫でる。
「い、やぁ…」
一度イって敏感になっとる俺の身体は、僅かな刺激にも反応してしまう。
加えて下から謙也を眺めることの方が多いから、上から謙也を見下ろすっちゅーこの景色はなんや新鮮で……俺の興奮を煽った。
「謙、也ぁっ、謙也ぁ……ッっ!」
譫言みたいに謙也の名前を呼びながら、腰を押し進める。
「白石のナカめっちゃ気持ちええ……美味そうに俺のン咥えとる……」
「やって、気持ちええっ、あっ、謙也の、気持ちッ、ええんやもん……っッ!」
その言葉が謙也を煽ってしもたんか、自分のペースで謙也のモンを呑み込んどったのに、
「ひやぁアぁぁぁーっ!」
急に腰を掴まれて、グッと下に落とされた。謙也のモンが全て俺のナカに収まって、急な刺激に俺は堪えられんで、何も触ってへんのに悲鳴じみた嬌声あげてイってしもた。ピュッて精液が飛び出して、謙也の腹にかかる。
その反動で謙也のモンを締め付けたら、俺のナカでビクンと大きなるんが分かって……身体が反応する。
うって謙也が唸る声したから、我慢したんやなって思った。
「白石っ、お前、俺のこと煽り過ぎやろっ!」
余韻に浸る暇さえなく、焦ったように謙也は言うて、下から硬くなった自身で容赦なく突き上げてきた。俺の体重がかかっていつもより繋がりが深いから、謙也のモンが俺のええとこを何度も突いて。さっきイったばっかりやのに俺のモンは頭をもたげ始める。
「せっ、やっ、かてっ、んあっ、ホンマのこと、ひゃぁっ、やっ、もんっ!」
突き上げが激しいて、まともに喋ることさえ出来ひん。
それでも俺は、言いたいことがあった。
「謙、也ぁっ! 俺、だけをっ、見てぇっ! あぁっ、んぁアっ、俺だっ、けを愛してっ!」
他のヤツなんか目に入らんぐらい、俺だけを見て……愛して欲しい。
エクスタちゃんに妬いてまう程、俺は謙也に夢中やねんから……。
「そんなん、当たり前やろ……っ!」
「あぁアぁァあっ!」
「白石だけっ、いっつも見とるっ!」
ズグンて、最奥を刳るように突かれて、俺はまたイってしもた。その時に謙也の形が分かるぐらい強う締め付けて、今度は我慢仕切れんかったんか、謙也は俺のナカでイった。
ドクドクと俺のナカに注がれる、謙也の精液が心地いい……。
俺は謙也の上にクタリと体を倒し、目の前にある謙也の唇を最初と同じようにペロリと舐める。
そしたら謙也も、荒い息を吐きながら俺の唇をペロリと舐めて……俺達は互いに笑いあった。
――行為が終わり、シーツを被ってベットに寝転ぶ俺達。
謙也は体力……いや、精力? を使い果たしてしもたんか、俺の隣でよだれ垂らして寝とった。
まぁあれから、正常位に戻して四回はやったからな……しゃあないっちゃしゃあないけど、恋人の家来て寝るってどういうことやねん。しかも俺は起きとる。確かに腰とあそこは痛いけど……しっかり起きとる。
せやけど……いつもカッコつけとる、謙也のこんな馬鹿面拝めるんやから勘忍したるか。
クスッて笑って、俺は謙也の頬を指でつつく。
眉がピクッて反応したから起きるかなて思ったけど、軽く身じろいただけで静かに寝息立て始めた。
そしたらキィって、ドアが開く音がして……。まさかて思て、慌てて体起こして見たら、
「にゃあ」
そこにおったんはエクスタちゃんで。俺は心底安心した。
さっき体洗いに風呂行ったから、閉めたつもりやったけどドアが閉め切れてなかったんかもな……。
せやから俺は裸やのうて、パンツだけは履いとる。――謙也は丸出しやけど。
ホンマは謙也と一緒に性交の余韻を楽しみやかったやけど、謙也は寝とるし……家族が言うてた時間よりもはよ帰ってくるかもしれんから、俺だけは応対出来るようにと考えた。そうやないと色々ヤバイ。
俺はホッと胸を撫で下ろして、エクスタちゃんをおいでと手招きする。さっきは妬いてもて、ひどいことしてしもたからな……。
にゃあと可愛らしく鳴いて、近付いてきたエクスタちゃんを俺は抱き上げ、
「さっきはごめんな」
謝りながら、頭を優しく撫でてやる。
エクスタちゃんはさして気にしとらんみたいで、いつも通り俺に体を擦り寄せてきた。
「やっぱかわええなぁ……エクスタちゃん」
そう、エクスタちゃんは可愛い。
可愛くて仕方ない、俺の愛猫。
「でもな、」
せやけど、一個だけ許せんことがある。
「――謙也に手ぇ出すんは、エクスタちゃんでも許さんからな」
それだけは……絶対に許さへん。
エクスタちゃんはにゃあって、分かってんのか分かってへんのか、分からん返事してきたけど……
それ以来エクスタちゃんは、謙也に懐かんようなった。
end.
やっぱり白石の愛猫の名前はエクスタちゃんですよねっ!
……激しくミュージカルネタです。苦手な方、ホントすいません……。
でもでもっ、エクスタちゃんってナイスな名前どと思うんです!よしべえちゃんもナイスですよ!?ある意味で。
なんかご希望に添える内容……というか方向性が変わってしまっているんですが、匿名希望様、こんなのでよろしいでしょうか?
気に入らないとかやっぱ違うとかあったら遠慮なく言って下さい!ダッシュで書き直します!