保護したからにはまず女の子の身体を暖めてあげたりしたいのだが、びしょ濡れの服を女の子の意識がない時に交換するだなんてことはいくら保護したとはいえ寝込みを襲うようなものであって、そんなことは出来る筈もなかった。困ってしまった俺はとりあえず彼女をストーブの前に寝かせ、毛布をかけてやった。それから少ししてから上半身を起こしてぼさぼさになってしまっている髪をタオルで拭いてやり、ドライヤーで乾かす。ふわふわになった髪の毛にちょっとだけ満足しつつまた寝かせてやった。服も少しずつ乾いてきたようで、彼女の青白かった顔は少しずつ血色が良くなり、徐々に彼女が回復してきている様子を見て、やはり保護して良かったと思う。



彼女が目覚めるのを待ちながら、どうして彼女はあんなことになっていたのだろうかと考える。家出をしてきたのか?それにしては手荷物が少なすぎる。ただ単に外出中に具合が悪くなっただけとも考えにくい。その前になぜこんなに服が破けているんだ?どうにも検討がつきそうに無かったので考えるのはやめにした。

改めて彼女を見ると長い前髪が彼女の目元を隠してしまっているためあまりよく顔が見えない。そっと髪をはらって彼女の顔を見る。長い睫毛に色白の肌に映える薄く血色のいい唇。ちょっと幼さの残る感じの顔つきは、俺より少し年下か同い年くらいに見えた。そっと彼女の頭を撫でると小さく眉を潜める。そんな彼女の反応に少しドキドキしつつ、またもとの体勢に戻してやった。




彼女がなかなか起きなくて少し暇だったのでなんとなくテレビを見ていた。すると彼女がいきなりパッと目を覚ました。彼女はキョロキョロとあたりを見回し何か考え込んでいる。後ろから声をかけると少しだけ肩をびくつかせ、恐る恐る俺の方を向いた。そして大きく目を見開く。まじまじと俺の顔を見て、そっと俺の髪に触れた。そして何を言い出すかと思えば



「もしかして、一朗太?」


なんで俺の名前しってるんだ?





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