俺の隣で携帯のアラームがうるさいくらい鳴り響いている。欠伸をしながら窓を見れば外は土砂降りの雨だった。なんと目覚めの悪い朝だろう。少しばかりいつもより遅く起きてしまったので、俺は急いで着替え始めた。




かなりリアルな夢を見た。俺の幼なじみが引っ越して行く夢。しかも引っ越す直前に告白しようとしてたのに結局言えず仕舞いになってしまった苦々しい思い出だ。…何年も昔の話だ。彼女の引っ越しの理由は親の離婚。彼女は突然「とおいところ」に行ってしまった。彼女とは家が隣同士で毎日一緒に遊んでいたからあの時は悲しくて寂しくて、当時泣き虫だった俺は彼女が引っ越してからも度々泣いたりしていた。だから母さんによく怒られたのを覚えている。




朝食のトーストをかじりながら、いま彼女はどうしているのだろうと思った。あれからだいぶ年月は過ぎて俺はもう高校生になった。ということは勿論彼女も高校生であるということだ。今更ながら、会いたい気持ちもあるがなんせ当時彼女が言っていた「とおいところ」がどこであるかもわからないため、どうにもならないことはわかっていた。物思いに耽りながらもトーストを食べ終えて時計を見れば既に8時をまわっていた。ゆっくりなんかしている場合ではなかった。俺は急いで鞄を手にし、学校へ走った。傘をさしながら走らなければならないために視界は酷く悪かった。何回か人にぶつかりそうになったりしつつ、やっとの事で学校に着いたのはそれから10分後の話である。




今日は雨が降っていたからグランドが使えない。部活は筋トレなどになると思っていたが、結局休みとなった。寄り道をするわけでもなく直接家に帰る途中、一人の女の子がうなだれながら電信柱に寄りかかって座っていた。女の子の服は雨に濡れてズタズタになっていた。しかも所々破けている。見過ごすこともできず俺は女の子に駆け寄り大丈夫かと声をかける。しかしなんの反応もなくただ動かない。このままでは危ないと思い、こんな状態の女の子を連れ込むというのも少しどうかと思ったが、俺の家も近かったので保護することにした。女の子をおぶるために触れた腕は酷く冷たかった。





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