あと三年で世界は終わっちゃうんだって。ニュースでやってた。話によるとなんか地球に小惑星が接近してて、それが地球と衝突してなくなるらしい。そんなこと信じられる?最初はそんなふうに疑ってたけど衛星からの写真をみるかぎりどうもそれは本当のことみたいだった。そんなニュースが流れた時、みんなは(といっても私のまわりにいる人達の様子しか知らないが)すごく混乱していたけど今ではそんなニュースなかったみたいに平凡な日々を送っている。
思えばあのニュースがあってから既に2年半の月日が経っていた。すると街には再びあのニュースが流れた。再び沸き起こる混乱。考えてみればこのままいくと私たちみんないくら健康でも生きたいと願ってもあと半年しか生きられないのだ。わたしの友達は皆最後だからってやりたいことをやり放題にして毎日を送っている。でも私はみんながそんなふうに地球の最後(自分の最後とも言える)を考えながら毎日を送り始めたのに対してまだいまいち地球が終わるという実感がわかなくて、ただいつもどおりの毎日を過ごすのだった。何より私はこれで幸せだから十分だ。
昨日は講義がいっぱいあったしそれに加えてバイトもあったものだから私は疲れて家に帰ってからそのままソファーで寝てしまったらしい。そのせいでちょっとだけ身体が痛いし疲れも少し残ってしまっている。でも今日は講義もバイトもなんにもないから本当はもうちょっと眠っていたいけど、とりあえずお風呂に入ろう。そう思ってまだ眠い目をこすりながら時計を見る。AM11:00。うわ、もう昼近いじゃん。なんだか1日を少し無駄にしてしまった気もしつつ風呂場へ向かった。
お風呂からあがって再びソファーに寝転んでケータイを見ると、新着メールが一件。幸次郎からだ。
「今日良ければどこかに行かないか?」
急なデートの誘いだった。私は疲れていたし何より気力がなかったために本当は断ろうと思った。だけど今週だけで既に三回も幸次郎の誘いを断ってしまっている。さすがになにか申し訳なくなってしまって渋々「いいよ」と返した。
午後1時に幸次郎がわたしの家の前まで迎えに来てくれる。私はせっせと化粧したり洋服をチェックしたりしていたのですぐに1時になってしまった。全ての身仕度を完了し、急いで玄関の方へ。幸次郎は既に待っていた。「よお、久しぶり。じゃあ行くか。」そう言って差し出される手。私はこの手が大好きだ。大きくてあったかい、ちょっとごつごつしてるけどやさしく私を包み込んでくれる。幸次郎と手を繋ぎ、向かう先はいつものお決まりのコース。一緒に買い物したりおいしいものを食べたり、これといって何かロマンチックなわけじゃないけど私にはこれで十分だった。最初感じていた気だるさも、今では嘘のように無くなって、すごく楽しい1日を過ごせた。
至って普通。至って平凡。 これでいいのだ。 そう、これだけで。
地球がいつ終わるか、私がいつ死ぬかなんて関係ない。私はこんな時でも"今"が幸せだ。
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