終戦から5年
戦争で莫大な被害を受けた町も今では嘘のように復興し、町には明かりと笑顔が戻りつつある。

誰かの死に対して執着するのは良くないのは知っているし、別にあの2人が死んだからってわけではないけど。あれから俺は生に対する執着心が欠落し、逆に死に対する執着心ばかりが増していった。死ぬのはこわくない。ただひとりがいやなのだ。

俺は今、海岸にいる。靴を脱ぎ、冷たい海水に足を浸す。俺はゆっくり前に進んでいった。体はついに腰まで海水に浸かった。さらに進む。首まで海水に浸かり、もう俺の足はまともに海底につかない。その状態のままふと空を見上げた。空には五年前のあの時と同じ星が瞬いているだけだった。美しい闇に少しの間見とれた。そして思い出す。五年前のあの時を。


身体は冷えきり、体力も体温も奪われる。沈んでいく身体。水中は息が出来なくて苦しい。でも気持ちいい。意識が朦朧とする中。うっすらと目をあけた。なんだか俺は泣いているみたいだ。水中だから定かではないけど。嬉しくて泣いてるんだろうか。それとも悲しくて泣いてるのだろうか。きっとどちらもあるだろう。もう少しで俺は死ぬ。もう少しで孤独から解放されるのだ。そう思いうっすらと微笑を浮かべた。そして俺の意識はそこで途絶えた。


尚も沈んでいく身体。そして深い深い闇に包まれた海底へ。死ぬことによって心だけ解放された俺は身体だけ永遠の孤独をさ迷うのだ。







死に逝く。
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戦争について考えてたら出来た突発的な話。色々おかしい所もあるかもですがそこは目を伏せてください←

戦争ダメ絶対


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