それから1ヶ月後、終戦。戦争は俺達に虚しさと悲しさを残し、国と国との話し合いによりあっけなく終わった。だったら初めからこうしていれば損害も亡くなる命もなかったのに。南雲も凉野も死ななかったのに。俺は1人にならなかったの、に。

夜中俺は2人の墓の前に立つ。2人の墓に花を添え、目を閉じ、手を合わせる。俺は心の中でただ、いままでありがとう、と、ごめんな。を繰り返すことしかできなかった。再び目を開けて前を見る。やはり2人は死んだのだ。目の前に広がる現実にやるせない気持ちでいっぱいになった。どうして2人は死ななければならなかったんだろう。死は平等だが時に理不尽で不平等だ。

俺は2人の死に、初めて泣きそうになった。目頭が熱い。いま瞬きをしたらきっと涙は流れて止まらなくなるだろう。2人の前では泣きたくなかった。だから空を見上げた。空は闇に覆われ美しく星が瞬いている。あの赤く染まった空をもう見ることはないのだ、と信じたい。



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