それから何時間か過ぎて、爆音も遠ざかり悪夢のような一夜が明けた朝、俺は近くいたまだ生き残っている人達と共に一部焼け残った建物の二階に行った。


するとそこには銃弾で腰を撃たれ、半身衣服の上まで血に染まった凉野が横たえていた。凉野はあの十字路の一角の反対側で、途中合流したらしい茂人と銃撃を受けたそうだ。その時茂人は胸に銃弾を受け、その場で亡くなったと聞かされた。


爆風で窓ガラスも全て割れ、吹きさらしの部屋の床の上で、凉野は手足の感覚もなく、時々苦しそうな表情を浮かべるだけだった。そこは臨時の救護所となっていたようだが、医師も看護婦も誰も来てくれなかった。


「しっかりしろ凉野。痛むか?」そう心配して声をかけると俺に気を遣ったのかかすかに口元に笑みを浮かべて「もう、痛くない。けど、少し、苦しい。」と答えてくれた。

しかしそれから少しして、凉野は静かに最後の息を引き取った。室内にいた仲間は、他の仲間を探すために外にでていった。ガランとした部屋にひとりで凉野のとなりに座っていた。俺は凉野にかけられた白いハンカチが強風で吹き飛ばされるのを必死で押さえることしかできなかった。


その後どうしたかは全く覚えていない。わかるのは仲間の中でただ一人、俺だけが生き残ったこと。それは幸いか、それとも不幸かわからないけど。


俺は、ひとりぼっち、だ



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